ちょっと発表
ちょっと発表



2017.06.22     6組  榮 憲道 

 老いの階段

おちこちに異常警報点滅もそこそこ元気で喜寿を迎えり


 5月14日、小田高ホームカミングディに参加して、同じ白山中学出身で今はテニス仲間でもある今道さんの「仮想と現実の狭間」を聴講した。彼の辿ってきた冒険的人生経験をベースとして、ビットコインやウイキリークス、更にはバーチャル歌手・初音ミクまで引き合いにした仮想世界など興味深い話題満載で、今の世の中がいかにインターネットなどで変化しているかが実感できた。その後、小田原駅前の老舗・寿庵にて同期の仲間30人と楽しいひと時を過ごす。見慣れた顔、見慣れない顔・・・高校卒業後60年の歳月が経つなか、皆それなりに元気横溢、これからの健康と再会を約して別れた。 それから2週間経った5月29日、今度は小田原テニスガーデンでの同期テニス会に駆け参じる。


 ☆勝ち負けは論外なりきこの歳で、ただラケット振れるしあわせ


 すっかり馴染みとなったメンバー(9人)とプレーを楽しみ、いつもの通り小田原駅前の居酒屋で、辻さん・今道さん・佐々木さんの4人と飲み会となった(いつもはもっと多勢だが、今回は他のメンバーや奥さんたちに都合が悪い用事が重なって・・・)が、打ち上げ後、11期幹事はじめ各方面で活躍中の佐々木さんが、まさかの《変形関節炎関連症》なる膝通で整形外科医に担ぎ込まれ、遠くから駆け付けた優しい奥さんの車で帰宅するという厄災に見舞われた。
 翌日、本人いわく《同期テニス会史上初の不祥事》とのひどく恐縮したメールをいただいたが、実はそれ以前から私がいつも一番の問題児であったと自覚していた。


 ☆脚痛めゲーム真なかにリタイアとう我が体力の衰えに泣く

 同期テニス会は3時間の長丁場であるが、地元長久手では週1回2時間だけ小母さんたち相手に気楽に楽しむだけの私の体力はこれに耐えられず、ふくらはぎや足首が悲鳴を上げて治療薬をもらったり、終了後のコート整備もままならず、いつもメンバーの皆さんに迷惑を掛けていた。ますますもって無理は禁物、《他山の石》としなければなるまいと心を新たにしている・・・。


 ☆「100年の恋も冷めるわ」憐れまる入歯外せし真夜のクシャ顔


 私はもう何年も前からほぼ総入れ歯である。「長年の酒と煙草のせいよ」と妻からはとっくに見放されているが(煙草は定年退職と同時に何とか禁煙)、それだけではない。30代のころ、右膝はバドミントンのやりすぎで2回も水を抜いてもらっており、左肩は野球(サウスポー)の投げ過ぎで一時はボールを10メートルも投げられなくなった。その後ある程度回復したが、テニスでも強いサーブやストロークなどとても出来なくなっている。老いた今、耳も遠くなった。眼は白内障の恐れがあると脅されて点眼液は必携、寝床では「いびきがうるさい」といつも女房に怒られる鼻の奥に、先日の内視鏡検査で妙な突起があると判明、長久手市内にある愛知医大病院を紹介されて精密検査、7月に結果待ちの状態である。
 既に15年前からガンで胃は半分しかないし、テニスなどで後頭部を強打したことが3度あり、女房からは「脳外科専門病院に行ってMRIで診てもらったら」とずっと催促されている。万一脳梗塞予備軍などの指摘があり、禁酒でも言い渡されたら生きる望みを失うので先延ばしにしてきたが、やはり一度診てもらわねばならないであろう。
 

☆〈病院へ〉これが今ある幸 せか妻に寄り添う昨日今日明日


 かくいう妻は私以上に満身創痍である。整形外科・胃腸科・眼科・耳鼻咽喉科・内科クリニックほか、連日のようにいろいろな医者に診てもらっており、近年は旅行・ドライブ・映画など、私がいくら誘っても従いてこない。市内の美術館や音楽会とかスーパーでの買物・近辺の散歩がせいぜいで、達者なのは口だけである。それでも彼女の両親は90歳代まで長生きの家系、多分私が先に逝くと気楽に構えているが、これまで衣食住ほとんど妻任せであり、万一逆となると同居している娘一家とうまくやっていけるか全く自信がない。


 ★昏れどきの藍濃くなれば亡き妻が残しし虹のかけらを探す(Yさん)
 ★枕辺に君の居そうな気がするし幽かな声も聞きたりと覚む(Uさん)


 これは私の所属する「中部短歌会」の歌友二人の哀切な愛妻への挽歌である。


 ☆妻恋を切に詠みたる歌友の《男の挽歌》ズンと身に沁む


 そのUさんは、愛妻に先立たれたショックで、歌を詠むことが何か月か出来なくなってしまったと告白している。やはりなんだかんだ文句を言われても、長年連れ添った”女房殿”は大事にせねばなるまい。
 そして、今秋11月11日予定の「11期生喜寿記念イベント」まで体力維持に努め、”華麗にカムバック”されるであろう佐々木幹事の音頭で愉しいひと時を持てたらと、今から心待ちしている私である。


 ☆おっとっと老いの階段危うくも妻と揃いて傘寿を目指す

 

                   (2017年6月20日 記)

 


 





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