ちょっと発表



2018.3.16     6組  榮 憲道 

2歳の走友と《18歳と81歳の違い》

 私のサラリーマン人生はちょうど40年であり、そのうち23年が大阪である。東京は11年、従って今住んでいる名古屋は僅か6年に過ぎないが、いろいろな事情が重なってここがどうやら終の棲家となりそうである。
 その大阪時代の最初の10年を過ごしたのが西宮の甲子園球場近くの社宅で、その近所の友より誘われ《西宮タートルランナーズクラブ》というジョギングクラブに入会した。
 タートルとは”亀”のことであるが、このクラブは毎週日曜日の午前7時に武庫川の河川敷に集合し、往復10キロを往路は全員でワイワイと楽しく、復路は各々のペースで走る。武庫川は丹波篠山を源に、三田盆地の田畑を潤して裏六甲の峡谷を曲流して宝塚に至り、西宮と尼崎の境界をゆったりと流れて大阪湾に注ぐ。酒匂川の半分ぐらいの川幅ではあるが、六甲山連峰を間近に望み、堤辺には松林が続き、《桜回廊》なる場所もあり桜の名所でもある。またその河川敷の両岸にはジョギングコースとサイクリングコースがあり、花壇や子ども広場、野球場やテニスコートも備わった多くの市民の憩いの場所であり、私もよく子供たちとボール遊びをしたり、愛犬の散歩に出かけたりした。
 私が入会したのは38歳の時である。当時、原則的に男子は40歳以上が入会資格であったが、健康増進・走ることを楽しむ人・競技に参加を希望する人、そして少しでも社会に役立ちたいと願う人は誰でも歓迎するという初代会長の考えのもと、一時は100人を超える有志が集まったが、今は70人程度に減り平均年齢も70歳前後と高齢化しているようである。
 フルマラソンに挑戦するメンバーの多い中、私はただ健康目的のジョギング程度で皆さんの後ろをのんびり走っていたが、入会して4,5年後、名古屋に転勤となって日曜例会には参加できなくなった。しかし、現在も総会・親睦旅行・元旦西宮三社詣・新年会などの催しに年に1、2回は参加、40年の長きに亘り交誼を続けている。
 そのクラブで特に注目の人は、現在82歳のIさんなる男性である。若い時はゴルフ、囲碁・麻雀・鉄道マニアだったそうだが、49歳でジョギングを始め77歳まではフルマラソン以上が中心で、サロマ湖や八ヶ岳山麓100㌔ウルトラマラソンはじめ各地の70~50㌔ランを17回完走、フルマラソンは国内で43回、海外ではホノルルの4回をはじめニューヨーク、ロンドン、ベルリン、シドニーなど世界各国で11回完走という実績を持つ。”走る”だけではない。70歳過ぎに始めた気功体操の集いには週4日参加して現在サブリーダーを務める。73歳のとき日本百名山を完登、77歳から社交ダンスのレッスンに参加、80歳からフルートを始めたという驚くべき多彩な活動を行ってきている。その上、地元・芦屋市の町内会長を永年務められている。とても穏やかで気さくな好男子であり、私が顔を出すと大喜びで声を掛けてくれる優しい先輩である・・・。
 今年の1月20日に開催された新年会に参加した。私は昨秋体調を崩して「11期小田高同期生喜寿を祝う会」に出席出来なかったが、その後飲酒を慎み、食事も妻に工夫してもらったりして体力を回復、3か月振りの遠出であった。たまたまお隣りは米寿/90歳を迎えたMさん、なんと昨年のクラブの催しの50回全てに出席したという。「耳が遠くなった」と嘆いておられたが、まだ矍鑠としている長老であった。
 その新年会の席で、ある女性会員から「18歳と81歳の違い」というユーモア溢れる”戯れ言葉”を披露され大きな笑いを誘った。実は彼女もIさんなる同じ姓で同じ82歳、そしてその走歴は引けを取らない。子育てを終えた47歳から走り始め、50歳代でサロマ湖100㌔ウルトラマラソンを11時間台で2回完走、国内各種大会での優勝や上位入賞は数え切れず、ホノルルマラソンでは70歳代で1回、75歳以上で2回も1位を獲得した。80歳の時のシドニーマラソンでは5時間10分27秒の記録を残しており、同世代では全国的にトップクラスの女性ランナーとしてよく知られた存在である。昨年のNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』のような女丈夫を連想されるかも知れないが、いつもにこにこと笑顔を絶やさない小柄でキュートな女性である。
 
         《18歳と81歳の違い》

      道路を暴走するのが18歳・・・・・・・逆走するのが81歳
     心がもろいのが18歳・・・・・・・・・骨がもろいのが81歳
    偏差値が気になるのが18歳・・・・・・血糖値が気になるのが81歳
   恋に溺れるのが18歳・・・・・・・・・風呂で溺れるのが81歳
  まだ何も知らないのが18歳・・・・・・もう何も覚えていないのが81歳
 東京オリンピックに出たいのが18歳・・それまで生きていたいのが81歳
自分探しの旅をするのが18歳・・・・・出かけたまま分らなくなり皆が探すのが81歳
 出来た彼女と手をつなぐのが18歳・・・介護の女性に手をつないでもらうのが81歳
  嵐というと松本潤を思い出すのが18歳・鞍馬天狗の嵐寛寿郎を思い出すのが81歳
   ブランド店をはしごするのが18歳・・・病院をはしごするのが81歳
    ストックをついて滑るのが18歳・・・・ステッキをついても転ぶのが81歳

 喜寿を超えたばかりの皆さんは、私以上に元気でまだまだ大丈夫とは思われるが、これから”81歳”までの1年1年はきっと想定以上に加齢が進むのではないかと考えられる。
 私はこの3月下旬に同期テニス会で小田原へ行く予定をしている。昨年9月以来のメンバーとの再会であるが、テニスも手控えて半年近くのブランクがある。気持ちが先立って転んでしまわないように、とにかく迷惑をかけないようにゆったりと”ボール遊び”を楽しもうと決めている。
 そして皆さん、車で逆走したり風呂で溺れたりは絶対にないようにしましょう。
                     (2018年3月13日 記)

 

 


 





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