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  2015.02.03 7組 斎藤良夫

卒業生を送る桜


 コメント

 つい数日前に74歳の誕生日を迎えた私は今、年甲斐もなく、胸をときめかせて桜の開花を心待ちにしている。
 
 「春めき桜」。3月中旬から下旬に花開く早咲きの桜。校庭の桜はソメイヨシノなど、4月に咲く、いわゆる新入生を迎える桜が普通だ。これに対して、春めき桜は一足早く咲くために、「卒業生を送る桜」の異名を持つ。私が、この桜を知ったのは約1年前の2014年3月。友人に誘われて参加した「足柄紀行」(神奈川県)の時だった。
 
 生産者は古屋富雄さん(62歳)(南足柄市)さん。「TOMIOファーム」、「ユートピア農園」のオーナーで、聞けば、機会あるごとに「春めき桜」を全国の学校に寄贈していると言うではないか。品種登録名「春めき」といい、「卒業生を送る桜」といい、その語感で、直ぐに名前を覚えた。が、何よりも感じ入ったのは、古屋さんの心意気。寄贈の経緯については、本人の話を写真の中に掲載している。とにかく私は、今年はこの桜をしっかり見てみたいという思いにかられている。
 
 そんな矢先、一つのニュースが飛び込んできた。古屋さんが神奈川県立平塚盲学校(名執宗彦校長)に8本の苗木を贈り、2月2日が植樹式という----。さっそく、主催の学校にお願いして式におじゃまさせてもらった。古屋さんは所用で顔をみせなかったが、彼のメッセージが読み上げられた。この後、代表の6人の生徒が代わるがわる苗木に触った。植樹チームリーダーの小山俊一さん(70歳)(神奈川県造園業協会副会長)らが、根から幹、枝へと子どもたちに手を添えながら説明。樹齢5年の苗木には、つぼみが付いていた。ここでは、とりわけ時間をかけて、「3月には花が咲くよ」と話しかけていた。
 
 植樹場所は寄宿舎の中庭。食堂への渡り廊下からもよく見える場所。春めき桜は香りが強い品種。植樹後に高等部の女生徒があいさつ。点字をなぞりながら一呼吸おいて、弾けるように声をあげた。「早く香りをかぎたい。大切に育てます。フルヤさん、ありがとうございました!」。----古屋さんは、盲学校への寄贈は初めてと言う。私は、ビデオ撮影もしていたので、後日、彼にDVDを届けるつもりだ。
 
 桜にはいろいろな種類がある。静岡県熱海市の県立熱海高校近くに「ヒマラヤ桜」がある。ネパールのビレンドラ元・国王(故人)が、皇太子時代に東京大学に留学。伊東市を訪れた時に、熱海植物友の会が熱海の桜と梅の種子を献上し、その返礼として、1968年(昭和43年)5月にヒマラヤ桜の種子が贈られてきたきた。12月に花が咲く。今は大樹に育ち、「冬のお花見」を楽しむ姿をみかける。
 
 桜の季節は、なんとなく、うきうきした気分になる。春めき桜。桃の花との競演か。生徒たちは、どんな思いで進学し、巣立っていくのだろうか。もちろん、ソメイヨシノを忘れているわけではない。----開花が待ち遠しい。
 
 植樹式の記事が2月3日付け神奈川新聞(湘南版)に掲載されている。テレビの取材も入り、J:COMチャンネル神奈川デジタル11chが、2月10日(火)午後6時からの「夕なび」で放送の予定だ。

 それでは、失礼します。
 




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