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  2015.02.08 7組 斎藤良夫

「安藤軍治生誕100年展」のポスター


 コメント

 軍治は小田原市国府津出身の画家です。57歳の生涯でした。旧姓は「石塚軍治」。生家は「石塚材木店」です。今はありませんが、私の自宅から歩いて20分足らず。蓮台寺様の敷地に店舗等を構えていました。付近を通れば、今も木の香りが漂ってくるような気がします。
そんなわけで、生誕100年展のスタートは生家にご縁がある蓮台寺様----で、ということでお寺様にお願いしました。会場は新客殿。これまで各種展示会が行われている部屋です。軍治の遠縁で、出展作品の所有者である剱持雅章氏が、「何とか画伯が生まれたところで開きたい」という気持ちを、吉川晃住職、玲子副住職ご夫妻が快く受け入れてくださいました。そして、住職らの提案もあり、時期を「春彼岸」に決めました。まさに、蓮台寺様での100年展は、軍治の文字通りの「里帰り展」となりました。


 安藤軍治の個展企画の話は、実は、平成18年(2006年)までさかのぼります。かねてより軍治作品を収集していた剱持氏は、国府津公民館(現・学習館)の一室を借りて、「安藤軍治の画業展」を開きました。場所柄、展示作品も限られ、しかも、たった一日だけの開催でした。地元の皆様に、「アンドウ・グンジ」の名前を知ってほしいという思いが開催の動機でした。
軍治の作品は、昭和31~32年に、国府津小学校と国府津中学校に寄贈されていました。今はともに校長室に飾られていますが、一時は、図書室や講堂などに掲額されていたようです。私には記憶がありませんでしたが、あとで聞くと、かなりの同期生や同窓生が見ていました。吉川住職は中学校の図書館で見ており、「うちわを手にした、浴衣姿が印象的だった」と、話していました。


 私は、公民館での画業展で初めて安藤軍治の名前を知り、作品を目にしました。以来、剱持氏との交流を深めつつ、二人は、「いつか本格的個展を----」と、考えるようになりました。軍治は、『主婦の友』の表紙絵も画いていました。その掲載誌を私がお預かりしています。私には、絵そのものについて語る資格はありません。しかし、安藤軍治という一人の画家・人物については書きとめておきたいという思いはあり、その手がかりのひとつとして、「主婦の友社」が関係する「(財)石川文化事業団 御茶ノ水図書館」(東京)に足を運ぶようになりました。
一方で、個展会場探しを始めました。軍治の出身地を考え、会場は小田原市内にしぼりました、当初、R百貨店催事場での開催の内々定までこぎつけました。ところが、間もなくS百貨店に様変わりし、これまでの話は、全てご破算になってしまいました---。


 加えて、私が体調を崩して入院し、その後、剱持氏も体調を崩すなど、一時、個展開催の話は暗礁に乗り上げました。幸い、二人とも、日常生活に支障がないまでに回復し、剱持氏も今は仕事に精を出しています。そして、平成26年(2014年)、つまり昨年夏に、やっと個展開催へ向けての話をスタートさせることができました。会場は先ず、蓮台寺様に決まりましたが、もう一か所ということで、「ギャラリー新九郎」(小田原市・伊勢冶書店3階)の内諾を得ることができました。百貨店は当然として、画廊も、一年先はおろか、場合によっては2年、3年先までの予定が入っています。新九郎さんの場合、担当の木下泰徳氏が、自ら絵筆をにぎることもあってか、ご理解があり、時期は8月になりましたが、やっと会場をお借りすることができました。


 昨年9月。画伯の長男、安藤直人氏が国府津にお見えになりました。剱持氏と直人氏はメールを交換しており、剱持氏が作品を入手した時は、必ず、直人氏に鑑定をしてもらっています。直人氏は、東京大学教授を定年退官
後、特任教授(名誉教授)になり、今も大学院農学生命科学研究科に研究室をもっています。院生との研究のかたわら、林業団体等のアドバイザーとして、または講演のためにと東奔西走しています。私は両人を二つの会場に案内しました。出展作品等については、当然ながら剱持氏と直人氏が相談して決めています。


 添付の一つ、100年展関連アラカルトに、東京証券取引所にある軍治作品を紹介しています。直人氏からの情報です。私の問い合わせに、東証側が写真と資料を添付して丁寧に回答してくれました。北村透谷と軍治の父、つまり直人氏の祖父・石塚千之助との関係も直人氏の話からです。透谷の系図の載った書籍を知人の文藝愛好家からお借りしました。直人氏の専門学問は「木質構造学」です。全く偶然のこと----と本人も話していましたが、父の生家の仕事、つまり、「材木」の話につながっていたのです。


 興味ある話は多々ありますが、今回はあまりよくばらないで、できる範囲でスタートしました。軍治展開催の強みは、剱持氏個人の収集作品だけで開催できることです。友人の美術館学芸員の応援もあります。小田原市内には軍治に絵を習った方もいます。私にとって、情報がありながら、なかなか現場に伺えない情況が続いているのが現状です。

国府津小・中学校に赴任してきた教師や職員は、校長室にある作品を一度は目にするはずです。しかし、「安藤軍治」の名前までは届いていません。作品の写真撮影をお願いするなどの関係で、私は両校長に機会あるごとに軍治情報を送ることにしています。先生方の理解が、また、児童生徒への関心、理解へと通じるからです。一人でも多くの学校関係者が会場に足を運んでいただければ----」と思っております。


 私のメールや添付写真の転載は原則フリーです。案内はがきも添付しました。メールをしない方へ送るためのはがきです。皆様も、これでよろしければ、プリントアウトして友人らに送っていただければ幸いです。


 難産の末に、やっと実現にこぎつけた「安藤軍治」の個展。生誕100年の節目の年に間に合いました。開催初日は3月16日。もう、直ぐにもやって来るでしょう。

「皆さま、お待ちしておりま~す----」と、声をあげて、ご挨拶申し上げます。


とは言いつつ、一番心待ちにしているのは、多分、剱持雅章氏、そして、この私でしょう。なにしろ、あの日から10年近い歳月が経っているのですから----。


そんな思い入れが後押しして、ポスターやアラカルトの内容についてのコメントやメッセージがついつい長くなってしまいました。ご寛恕下さい----。最後までお読みいただき、ありがとうございました。


それでは、失礼申し上げます。


「安藤軍治」生誕100年展ポスタ

 

安藤軍治展関連アラカルト



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