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  2015.03.07 7組 斎藤良夫

野良着茶会 「あおぞら畑」(国府津山)


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 夜来の雨がすっかりあがった3月2日午前、「あおぞら畑」で<野良着茶会>が行われました。あおぞら畑は、小田原市国府津の保育園児たちの情操教育の場で、JR東海道線・御殿場線「国府津駅」北側の国府津山にあります。耕作放置されたみかん畑をオーナーが保育園に無償で貸与し、地域住民がボランティアによる「協力会」を結成して整備し、今年で3年目を迎えます。

 畑の作物は、保育園と協力会が話し合って決め、これまでジャガイモ、サツマイモ、ダイコンなどを作付けし、収穫してきました。これらの農作業はいずれも幼児教育の一環で、現場では、先生たちと協力会のメンバーが付き添って指導し、合わせて子どもたちの安全を見守っています。

 協力会は、作付け収穫の合間に畑の管理・整備をしています。2日はジャガイモの播種をひかえての仕事でしたが、オーナーの加藤ひとみさんが茶会の野点一式を持参して訪れ、協力会メンバーにとって、思わぬ茶会となりました。加藤さんを含めて全員が作業着に長グツ姿。この光景を見て私は、読売新聞東京本社の社会部から名古屋総局(現・中部支社)に異動したデスク時代を思い出しました。もう35年前の話です。

 中部支社の管轄は愛知、岐阜、三重の3県。赴任して間もなく津島市(愛知県)の川魚問屋を訪れました。その時、土間の店先に座って10人近くの男性が、いわゆる野良着に長グツ姿で、お抹茶で一服していました。農家の方やサラリーマンが小遣い稼ぎのために仕事前にナマズなどの川魚を獲って問屋に持って行くのです。東京では茶席や、緋毛氈(ひもうせん)を敷いた野点でしか見かけない、ちょっとあらたまった風景が、ここでは、ごくごく自然にふるまわれていたのです。聞けば、皆さん、抹茶茶わんの一つや二つは家にあるとのことでした。事実その後、個人のお宅に伺った時に、東京で煎茶を頂くように、抹茶をよく頂いたものです。
 加えて言えば、この時に、碾茶(てんちゃ)、つまり、これをひいて抹茶にする抹茶の前段階の茶葉のことを教えてもらい、淹(い)れてもらいました。無粋な私にはいまだにお茶の世界はほど遠い存在ですが、お茶にかかわる自然体の奥深さを垣間見た思いでした。

 あおぞら畑からは、眼下に相模湾が広がり、木の間からは富士山や箱根連山が望めます。国府津山を散策する人たちが時々立ち寄り、ベンチで休んでいます。今、畑は菜花が咲き誇っています。

 


 



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