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  川崎長太郎の始末書

 2019.05.26    斎藤良夫

 「15,6歳にしては上手な字ですね」。『川崎長太郎の始末書』と見出しが付いた記事が、始末書の写真とともに読売新聞の5月11日付け湘南版に掲載されました。川崎長太郎(1901~1985年)は神奈川県小田原市出身の私小説家。始末書のてんまつ記事を読む前に、新聞を目にした友人、知人の最初の一言が冒頭の言葉です。実は、私もその一人でした。 

 始末書の原因は、旧制小田原中(現、神奈川県立小田原高校)一年の時に、地元の図書館にあった文芸百科全書を31ページに渡って破り取ったこと。詳細は記事に譲るとして、この始末書が小田原高校の校史展示室で5月12日から企画展示され、一般に公開されています。この企画展には川崎と交流のあった作家仲間たちとの座談会などとともに、川崎の成績表も展示されています。習字は「84点」。川崎は一年生限りで退学になりますが、この時の総合成績の席次は127人中の9番でした。退学後は家業の魚行商をしながら、独自に作家への道を目指しました。

 私は昭和30年代はじめの高校時代に川崎に一度“会って”います。いや、正確に言えば、望見です。当時、川崎は小田原の浜辺に建つ物置小屋に住んでおり、私たちは好奇心からのぞきに行ったのです。今回の企画展に尽力した小田原高校同窓会資料委員会の石井敬士氏は私の同期生です。聞けば、川崎については私と同じ思いを持っていました。石井氏は神奈川県職員として図書館長を務めていました。父親の石井富之助氏は小田原市立図書館長を長い間務めており、親子二代の図書館長という異色の経歴の持ち主です。

 「川崎長太郎の始末書」の記事が出て間もなく、静岡県内の図書の話が話題になりました。貸し出しの本に付箋が付いたまま返還され、これをはがす時に本が破れてしまった。付箋のかわりに「しおり」を使ってほしい、という担当者からの呼びかけの話です。こちらも、アルバムに載せました。

 「川崎長太郎全集」を私は持っています。最近、本を読むと目が直ぐに疲れて、また、眠くなるのです。「読みたい」という気持ちはあるのですが、サテッ----。

 今回の国府津情報は、番外として、「川崎長太郎の始末書」の話でした。それでは、また----

 



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