ちょっと発表


「令和」のデタラメさ

3組  佐々木洋   

<‴有識者“選定のデタラメ

「ファジー」だとか「アバウト」だとか「いい加減」だとかいうのは私も好むところですが、「デタラメ」はだめだよね。元号だけでなくデタラメ政策であってもアタリマエだと思っていると、いつの間にか定着しちゃって国の将来を危うくすることがあるからご用心ご用心。元号をめぐる有識者懇談会の参加者に「山中伸弥」の名前があったのがデタラメその1。そりゃ山中先生はips細胞についてはゴッツイ”有識者”だけど、元号関連については寧ろ“無識者”に近いんじゃないの。

<原案作成者選定のデタラメ>

「令和」以外に、「英弘」、「久化」、「広至」、「万和」、「万保」という”おならみたいな”元号案があったみたいですね。これだけ見たら誰だって「令和が良いね」ってなるでしょうよ。そんな原案作成者しか選べなかったのがデタラメのその2かな。
 
<「万葉仮名」の本拠に漢字を求めるデタラメ

安倍首相は、元号の出典が‴我が国の豊かな国民文化と長い伝統を象徴する国書”である万葉集だと言っていましたが、これがデタラメのその3。その昔、仮名のない時代に日本語を表記するために漢字がその音を借用して用いられていました。これが「万葉集」での表記に代表されるため「万葉仮名」って呼ばれているんですよ。「万葉集」に意味のある漢字を求めようというのがそもそもの筋違い。
「国書」を原典とすることを誇るくらいなら何故中国伝来の漢字じゃなくて「国字」であるひらがなを使おうとしなかったんだろ。英語伝来の「カローラ」や「シビック」などの車名が花盛りのなかで「アスカ」、「カムリ」、「スバル」などの大和言葉の車名が異彩を放っていたじゃありませんか。

<“未熟語”を用いるデタラメ>

それに二字熟語の何たるかを知らないところがデタラメのその4。漢字ABが、国(B)を愛す(A)という関係でつながった「愛国」や、平(A)にして和(B)という形でつながった「平和」なら意味が分かるけど、「令和」は「和を令する」なのか「令なる和」なのかさっぱりわからない。「令和」なんて熟語どころか未熟語なんですよ。
もともと原典である万葉集の文章の中で「令」と「和」が文脈的につながった形で使われているわけではなく、それぞれがキーワードになっているわけでもないでしょ。単に、受けが良さそうな漢字二字が拾い出されてくっつけられただけ。「令」と「和」で万葉集の心が伝わるなんて言うのは大間違いの大デタラメですよ。

<「令嬢」は素敵だけど「令色」はね?>

「令」の字が海外でも「命令」の意味にとられがちになっていたので外務省が慌てて修正措置をとっていましたよね。「令嬢」、「令夫人」なんて言葉をたまに使うことがありますが、使用頻度が高いのは「命令」や「号令」の方でしょ。これまで、日本の元号の原点になっていた漢書の中の「論語」には「巧言令色鮮し仁」という言葉がありますが、「令色」とは「人にへつらうような愛想のよい顔つき」のことでしょ。この伝でいくと「令和」は「人にへつらうような和やかさ」になっちゃいますよ。

<下準備をしたのは高級官僚の仕業

もともと総理大臣や官房長官には元号を考え出す力なんかないから、結局は高級官僚の誰かが“忖度”しながら、一部始終の下準備をしたんでしょうね。そうそう、この“忖度”はもともと「他人の気持ちをおしはかること」という美徳に富む言葉なんだから「首相だけでなく国民すべての気持ちがおしはかられるようになりますように」という願いを込めて「忖度」を元号にしても良かったのにね。
ところが、高級官僚ときたらIQ(知能指数:Intelligence Quotient)が高いので、過去の事実や事例にはやたらと詳しく、前例に従った問題解決は得意中の得意です。しかし、状況を読んで分析して解決策を見出せるだけのEQ(情緒指数:Emotional Quotient)の高さがない御仁が多いから、新しい問題に対処する力がなくて、結局はお定まりの「有識者」頼りということになってしまうわけですね。

<次の元号はあの世から“いい元号だねえ”と感心できますように >

何のことはない「令和」のデタラメさは、デタラメな官僚依存の政治体制の一片に過ぎないんですね。自分に「国民すべての気持ちがおしはかる」ことができないんだったら、いっそ、糸井重貞らのコピーライターたちに呼びかけてアイデア・コンペでも開けば良いのにね。
元号案を公募にして国民からの提案を受け入れても良い。その昔トヨタが車名公募して「パブリカ」が選ばれた時、我がポン友は「自分はパブリック・カーで応募したけど残念。しかしパブリカとは流石のネーミングだねえ」と感心して言っていましたよ。訳の分からない「令和」を使うのはイヤだけど、「次の元号を決める時には、あの世から“いい元号だねえ”と感心できるようになってるよ、きっと。」と自分に言い聞かせることにしようかと思っています。