国内問題

ご隠居の戦争抑止論 (粗忽長屋)

2014.08.22

4組 吉田明夫


ある日の粗忽長屋のご隠居の部屋

ご隠居

八つぁんや! 
何ですご隠居? 
熊さんや、与太郎、それに手の空いている者や、かみさん達にも集まってもらいなさい!
へい、わかりやした。

おお、みんな集まったか。今日はじゃのう、いま巷で「集団的自衛権」がどうのこうのと騒がれているじゃろう。それについて、ちょっとばかり考えてみようと思ってるんじゃ。みんなも考えていることを言うたらいいぞ。


戦争を抑止する、平和を維持する具体的な方策を一人一人が考えるのじゃ!
ご隠居  戦争体験、原爆体験などの話を語り継ぐことの大切さはしばしば話題になるがのう、肝心なことはじゃな、その話から何を汲み取り、今後どう対処すべきかを考えることだと思うのじゃが。如何かのう?
熊五郎 俺もそう思うぞ。
ご隠居  何故、語り継ぐかと言えばばじゃのう、後世の人々が忘れないようにということであるが、わしはそれだけでは戦争を回避し平和な世界を構築する手段としては余り意味が無いように思うのじゃよ。語り継ぐだけでは爺様方の回顧話に過ぎないからのう。
ご隠居 例えばじゃ、体験談を聞いて戦争の悲惨さやみじめさや無意味さが判ったとしよう。その次に思うことはじゃ、戦争をしてはいけない、戦争反対、常に平和を、話し合いで解決を、平和憲法の擁護が不可欠、平和宣言をしよう、平和の創造をなどということになるのじゃが、世の中の皆さんは、ここまでで、この後のことを考えないのじゃよ。
八五郎 へえ、なるほどね。で、ご隠居、その後(あと)、俺たちゃあどうすりゃあいいんです?
ご隠居  まあ、そこまででは、戦争が始まりそうになったときに、これに反対する人々を増やすことには役立つんじゃが、戦争を抑える為にどうしたら良いかということには届かんのじゃよ。平和な世界を実現し維持していくことと結びつくとはとても思えんのじゃよ。語り伝えるだけでなく、「それなら、どうすりゃあ、いいんじゃ?」という話し合いを巻き起こすことの方がずうっと大切だと、わしは思うのじゃがな。
熊五郎  さすが、ご隠居だねえ、いいこと言うね。なあ、みんな!
熊のかみ さん  わたしゃ、むずかしいことはわかんねえけどさ、ご隠居の話はわかるよ、ねえ、みんな!

ご隠居

 集団的自衛権ハンタイ!、平和憲法を守ろう!、無残な戦争体験談を聴いて涙した!、という語りや瓦版を読んで共感しているだけでは、無意味、無価値だと、わしゃ、思うのじゃよ。戦争抑止はすべてお上や軍部の責任としてお任せし、戦争反対や護憲、集団的自衛権反対だけを唱える国民ばかりで良いのじゃろうか? しかし現実にはこういう人が多いのが日本の実情ではないじゃろうか?

 戦後69年も経過していながらこの点では日本人は一向に進歩していないのじゃよ? 瓦版も含めてこの時期になると大合唱を唱え“戦争反対”、“平和憲法擁護を”、“戦争の悲惨さを語り継ごう”、“他国民に与えた被害を反省しよう”、“平和都市の創造を”などと宣伝文句だけを念仏のように言ってみるだけの現状から、いい加減に卒業したいもんじゃのう。

八五郎  ご隠居! そこまでは俺にも何となく分かったけどよ、若え奴らにはどうしてもらったらいいんすか? なあ、与太郎?
与太郎 「うん、教えてけれ!」
ご隠居  若いもんたちへ戦争体験を話伝えようということも結構じゃが、若い衆に我々大人は戦争を抑えるためにこんなふうな日本独自の制度を作り上げたから、これを礎にしてより良い方式の構築を目指して若い世代が更に知恵を絞って欲しいというのが本当の我々の責務ではないじゃろうか?
熊五郎  なるほどねえ、戦争をしなくてもいい方法を考えればいいんすか? おい、与太郎、わかるか?
与太郎  おらにはよく分かんねえけど、戦争しなくていいなら、その方がいいべ。

ご隠居

 じゃから、もしもこのままの状態が続けば、他国が戦争を仕掛けてきたときに国民は戦争反対を叫ぶだけで、その開戦を阻止できるじゃろうか? じゃから、国民が心から戦争を防止したいと考えるならば、その抑止効果(開戦しないような仕組み)を如何にして高めるかを国民一人一人が自分で予め考えておく必要があるじゃろう。
 偶(たま)にじゃが「日本は平和憲法の下で戦争をしないことになっているから、他国が日本に戦争を仕掛けることはあり得ない」、などと能天気なことをのたまうご仁も見掛けられるが、こんな話が冗談としてではなく真顔で語られることを見てもだれも驚かないというのが日本の現状であり、平和ボケと言われてもやむを得ないし、他国から見れば隙だらけの国民としか捉えられないんじゃないかのう。

 「平和を脅かすものとは断固として戦う」という気概を持ちながらも、戦争を未然に防ぐ手立てを考えておくことが成熟した国のあり方ではないじゃろうか?  


戦争の危険性が身近に感じられるのう!

ご隠居

 みんなも瓦版で知っておるじゃろうが、我が国の固有領土である尖閣諸島をめぐる支那の動きがあるじゃろう。米国の弱腰姿勢を確かめるように尖閣諸島の領有権を主張し船舶や航空機を毎日のように徘徊させ、隙あらば付け込もうという現実があるのじゃよ。
 自衛隊なんか要らないなんておっしゃる御仁も居(お)るがのう、そうならとっくに占領されて今頃は、宮古・石垣・与那国には支那の兵隊がごっそりと上陸しておるじゃろう。

八五郎  そりゃあ、困ったもんだ。あの島の人達は自由に魚も獲れなくなってしまうじゃねえか。
みんな  そんなことになったら、大変だ! 自衛隊の皆さんに頑張ってもらわないといけねえ!
ご隠居  相手を思いやるという日本人の固有の美徳がじゃな、外交の世界では逆に相手に隙とみられる場合さえあるということをも知っておくべきじゃ。他国の考え方は日本の常識とはかけ離れていることも多いということを日本人は心して認識すべきであるのじゃ。

相互信頼関係の構築だけでは平和は実現出来んのじゃ!

ご隠居

 日本や一部の外国では人と人との関係に於いて、相互信頼が非常に重要であるし、時には最も強力な関係構築の要素となるのじゃ。しかしじゃ、これは日本などほんの一部の国での話であり、お隣の朝鮮では親族関係を最優先し、日本ほど他人との信頼関係の構築には重きを置かないのじゃ。

 国と国との関係も同様に特定の国同士の間では相互信頼の構築が大切であることは確かであろうが、全ての国がそう考えているかどうかは別問題なのじゃ。更にじゃ、個人の関係とやや異なり、国と国との関係(外交)上は当事国の利益を最優先するというのが通例であるのじゃ。

 であるからじゃのう、相互信頼が構築された関係であっても、利害が対立した場合は時として一気にその信頼関係が崩れ去ることがあるということは昔からの歴史の示すところであるんじゃ。     

 だからじゃ、信頼関係の構築さえ出来れば安泰であるということは外交の世界では通用しないのじゃ。ここに単なる信頼関係の構築だけで戦争抑止のむずかしさがあると思うのじゃ。

 一般論として日本人は人と人との関係の延長線上で国と国との関係を思考することが多いと思われるじゃが、現実には人も国の相互関係上にも優先事項には国ごとに厳然とした違いがあるということを認識することが必要と考えるのじゃ。じゃから、平和憲法だけに頼る戦争抑止が国際的には無力であると考えざるを得ない理由があるのじゃよ。
 民間の交流促進による戦争抑止もそれだけでは限界があることも認識すべきなのじゃ。

 

熊五郎  へえ〜、ご隠居! 何だかだんだん難しくなって、よく分かんねえでやす。みんな分かるか?
みんな  難しくてよく分かんねえだ。
ご隠居 心配しなくてよいのじゃ! 分かって無い人も多いのじゃから。

戦争抑止、平和維持のための具体策を皆で考える習慣をつけるのじゃ!

ご隠居

 幸いにも多くの日本人が戦争反対では意見が一致しいるようじゃで、これをじゃな、もう一歩進めて具体策提案にまで持ち込みたいのじゃ。これにより国民の意識を単なるスローガンを唱えることからより具体的な方策を自ら編み出すことで意識は大きく変わり、平和維持、戦争抑止、ひいては国防意識も前進する筈であるのじゃ。

 それにじゃな、スローガンを唱えることや反対を叫ぶだけでは物事は解決しないということを自覚するようにもなるんじゃないかと期待するのじゃ。
 国民相互の意見交換や討論のための仕組みをWeb何ぞで構築するというのも効果的かも知れんのう。これはじゃな、憲法改正などに対する意見の集約にも活用でき、国民の憲法改正に対するアレルギー反応を解消するにも役立つと思うのじゃがな。

日米安保条約の維持、強化とEATO(東アジア条約機構)の構築も大事じゃ!
ご隠居  日米安全保障条約は、日本の国防上も戦争抑止上も非常に重要な要素になっていると思うんじゃ。尖閣諸島をめぐる中国の動きをけん制しているのもこの条約が存在しているからじゃろう。戦後69年間の長きに渡って平和が維持されてきたことも、日本を取り巻く周辺国が発展途上にあり、それらの国の国力が小さかったという幸運にも支えられたが、日米安保条約の効用を過小評価すべきではないように思うのじゃ。
 米国の最近の動静として世界の警察官としての役割を終結し、同盟各国との分担化を図ろうという動きがあるように伺えるのじゃが、この動静を踏まえつつ今後は関係を更に強化することが必要であろうが、日本も自国の防衛に更なる努力が必要と思うのじゃよ。
 巷でよく耳にする言葉があるのじゃが、みんなも知っているじゃろう?
 「自分の家が火事になった時に隣人の助けを求めるが、隣の家が火事になった時は、俺は知んねえ」という今の制度をまともな形に改訂するというものじゃから、集団的自衛権を認めるのは当然であるのじゃよ。
 じゃがな、これは
殿様が替わると解釈も変えることができるから、本当は憲法を変えた方が良いのじゃが、それには皆の衆が、単に反対を唱えるだけじゃなく、真剣に戦争抑止を考えなくてはならんのじゃよ。

日本の軍の明確化、軍備のあり方などを考えるのじゃ!
ご隠居  我が国では、軍隊を自衛隊と呼んどるじゃろう。わしゃ、これをおかしく感じて居るのじゃ。自衛隊であろうが国防軍であろうが軍隊は軍隊なのじゃよ。憲法との咬み合いもあるじゃろうが、何とも無意味な話で、名前だけ替えて取り繕うて、ごまかしおるのじゃよ。今の世界の常識や情勢に合わせて普通に三軍を陸軍・海軍・空軍と呼べば、集団的自衛権云々のややこしい話も少しは判りやすくなるじゃろうが。
八五郎  そりゃあ、そうだ。軍隊は国を守るんだから国防軍でもいいけど、自衛なんて当たり前の名前(なめえ)は国内の反日勢力やご近所の国に気を遣ってるだけじゃあねえんですか。
ご隠居 日本に自衛の軍は必要であり、必須なのじゃ!
 警察権と軍事権とは全く異なるもので、相互に補完こそすれ、片方が無くては自国の防衛や警察活動が全う出来なくなるのじゃよ。
 それにじゃ、外交交渉上の一つの切り札として軍事力が挙げられる。現状の世界では軍事力を持たないということは外交上の重要な切り札を失うことを意味するのじゃ。
ご隠居  巷ではのう、軍備は戦争の抑止と相反するものと捉えられやすいが、わしゃ、表裏一体のものじゃと考えちょる。一般的に軍人が最も軍事行動を起こすことに慎重であると言われておるのじゃ。ちょっとむずかしいかのう?
熊五郎  ご隠居! そのくれえは、俺たちにもちゃんと分かるさ。なあ、みんな!
みんな  分かる、分かる!

軍備のあり方について考えてみようかのう! 

ご隠居

 他(ほか)の国から世界最強の軍隊であると思わせるようないろんな仕組みや仕掛けを作り、取り組む必要が大切なのじゃよ。国民が観て世界最強である必要はないが、他国がそのように思うように仕向ければよいのじゃ。軍備が外交上の切り札の一つであることからこれは明らかなのじゃよ。

 例えばじゃ、最近問題になっているハッカー対策や他国のスパイに対する対策、宇宙衛星による偵察や攻撃能力の向上なども含まれるのじゃ。手の内を読まれないようにするというのも自衛上で重要なことであろうが、最近では逆に実力を誇示し抑止力につなげるという戦略も取られるようになっているのじゃ。

   最近の世界情勢やIT技術、宇宙技術、経済状況などを考え観ながら、それに上手く会うための仕組みや仕掛けを充実させることが大切であるのじゃ。
 第二次世界大戦時の日本のように相手国の状況変化を察知出来ず、大型戦艦配備だけに注力し、航空機や無線技術の開発や充実が手遅れになったことなどへの反省が大切なのじゃ。これからはスパイ対策、ハッキング対策、宇宙衛星による対策、無人偵察・高性能攻撃機、多目的長距離飛行型ステルス航空機などは必須となるとわしは思うのじゃよ。
   軍備予算はむやみに増やせば良いというものではないのじゃ。とかく軍備は軍拡競争と呼ばれる状況に陥りやすいのでじゃな、相手国の状況をようく考え観ながら、必要最小限の予算で最大の効果が得られるように考えるべきであるのじゃ。 しかしじゃな、予算はどうしても国の経済状態に左右されるから、確実な防衛力を維持するためには経済的な発展や安定が絶対必要になるのじゃよ。

 

近頃の瓦版によれば、離島への自衛隊の配備は遅きに失したという感はあるが、日本としての防衛の対外的な意思表示であり、歓迎すべきことじゃろう。

抑止を考える際に必要となる戦争の発生原因の究明を考えてみようかのう! 

(ご隠居)

 

 物事を改善しようとするときに必ず必要となることは、その発生原因の究明であるのじゃ。 原因が把握出来なければ直しようがないからのう。戦争の抑止策を検討する際にも同じことが言えるのじゃ。但し、戦争は相手国のあることじゃから、原因を把握出来ても相手が応じなけりゃあ、解決不能という例が多いのじゃよ。

 ちょっとむずかしいと思うのじゃが、原因は発生した直接的な原因を考える「直接原因」と、より深くその発生原因を追究する「動機的原因」の両者をつかむと確実な対策につなげることが出来るのじゃよ。
 尖閣諸島、竹島問題、日本の北方領土、クリミヤ紛争など領土拡張をもくろむ問題が原因になることが最も多いのじゃ。領土拡張の野望(場合によっては戦略的重要性)が直接的原因と言えるのじゃろう。
 中国がなぜ尖閣諸島の領有権を主張したり、航空識別圏の拡張を言い出しているのかを考えるとじゃ、根本的には中国政府の国民に対する人気取り、国内問題から国民の目を逸らすなどの政策的なものがあると感じるのじゃ。これが動機的原因と言えるのじゃろう。
 然らば、この原因に対処するにはどうすれば良いのじゃろうか? 尖閣諸島の問題の直接的原因は領土拡張(戦略的拡張)の意思であるのじゃが、日本としては国際裁判所に提訴するか、もともと領土紛争は存在しないと主張するかのいずれかの対応策しかないと思うのじゃ。今、日本は後者を主張しているのじゃが。動機的原因への直接的な対応策は日本側にはあり得ないのじゃ。中国の政治体制が変化するのを待つだけじゃ。
 
 このように抑止を考える場合にじゃ、相手国の政策に拘わらず有効な策を考えなければならないのが悩ましいところであるのじゃよ。
 であるから、スローガンを掲げたり、反対運動をしてみても何としても解決されない問題であることが明らかであると思うのじゃが、皆は、どう思うかのう?

八五郎  尖閣は石垣市だから、石垣市や周りの市町村が協力して、船だまりや漁港を作って、番小屋を建てたら、どうなんです?
(ご隠居)  そういうやり方も考えられてはいるのじゃが、一触即発になるのを政府は懸念しておるのじゃよ。 

日本国内の皆の英知を結集し、脇を固めるのじゃ!

(ご隠居)

 然るにじゃ、結論的には日本国内の脇を固める、つまり、政府、国民を問わず基本的な日本防衛に関する議論を高め、相手国に隙を与えないような体制にしなければならないのじゃ。
 いわんや、自ら反日や嫌日(新造語)を書き散らす瓦版や一部のメディアに扇動されていては話にならないのじゃ。慰安婦問題が韓国のつけこむ余地を与えてしまったことを見ても、それは明らかなマイナスとなるだけであり、プラス要素は全くないのじゃよ。
 正しさの根拠が明確なことならば未だしもじゃ、根拠に間違いがあったということでは情けないとしか言いようがないのじゃよ。
 これからの日本は正しいことは正しいと主張し、間違っていることには毅然とした態度で否定すべきであるのじゃ。そしてじゃな、今は曖昧だったり、不明であることに対しては明確にその旨を相手に伝えるべきであるのじゃよ。

 ある意味で日本の良い習慣であり悪い面でもある曖昧さによる物事の決着は禍根を残すだけで、根本解決にはならないということを肝に銘ずべきであるんじゃ。 外交上の話には特に注意が必要でもあるのじゃよ。

 このような問題が生ずる原因はじゃのう、相手国の考え方や歴史風土が日本とは全く異なるからだからじゃ。それだけに、物事を是是非非で進めないと問題に嵌(はま)りやすいのじゃ。

 外交官はその面でのプロであることはさておくとして、問題は政治家や駐在大使の資質であるのじゃ。従軍慰安婦問題の河野談話や村山首相談話がそれを物語っている。国内の意識を高め、戦争抑制に直結させていくためには、我々大人がスローガンや感情論や感覚論に振り回されることが無いよう冷静な議論や判断が出来る素地を持つことが大切であるのじゃろう。

 集団的自衛権の反対を感情的に主張する輩(やから)が巷の九条の会(共産党系)などによく観られるが、主張は感情的にされるほど、みっともないということに気づくべきじゃのう。

 このような素地つくりにはまっとうな議論を行えるような環境と人づくりが必須となり、一人一人が自ら考え発表し他人との議論を通してより確実なものにしていくことにあるように思うのじゃ。感情的にならずにじゃ。

 この際、
全く正反対の思想の持ち主で、相互理解が不可能な人や戦争抑止の具体案の提示が出来ず、戦争反対だけを唱えるような人はその議論の輪から排除するという勇気も必要であろう。 いずれにせよ外国から戦争を仕掛けてもメリットが無い、むしろマイナス面の方が大きいということを悟らせることが大切であると思うのじゃよ。
 

(みんな)  さすがご隠居お見事! 恐れ入谷の鬼子母神!
 
自国にも他国の利益にもかなう国、信頼と頼りがいのある日本を目指すのじゃ!
(ご隠居)  相手国に利益をもたらし色々な分野で信頼と頼りがいを感じられる国、思想も含めた文化が尊敬を集める国という面で日本はかなり良いレベルにあるように思うのじゃが、それが戦争抑止の手段として万全かと言えば、残念ながらそうではないのじゃよ。

 しかしじゃな、例えば自国の列島線を拡張し、戦略的に優位に立とうという野心を持った国が存在するとしてじゃ、その国が拡張を主張することによって得られる利益よりも両国の紛争処理にかかる費用や相手国から得ている現状の利益の方がはるかに高いということが判ればことによっては紛争を回避することができるかも知れんのう。

 経済的な結びつきの強さはこの面で有効かも知れないがじゃ、戦力が高いということも紛争処理にかかる費用が嵩むことを示唆しているんじゃで、有利かも知れんのじゃよ。
 今朝(けさ)の瓦版によると気象情報衛星からの情報に基づいて、東南アジアの国に災害予防情報を日本から配信しようという動きがあるのじゃが、このような面で各国への支援活動が盛んに行われるようになれば、戦争を仕掛けるよりも、日本に継続して頑張ってもらった方が自国の利益が大きい、という判断が下されるかも知れんのう。
 日本としてはじゃのう、開戦して失う大きな人的資源や財産、戦費などを考えてもじゃ、それらを平和な時代に他国へのインフラ整備などの費用に先行投資し続けるという考え方も有効であるかも知れんのう。

 こうした複雑な要素が絡み合って戦争抑止が図られることも考えながらじゃ、最善の対応策を造り出したいもんじゃ。
(みんな)  日本人が、みんなそう考えれば、いい国が出来ると思うぞ!

ご隠居のおしまいのことば!
(ご隠居)  我が国の平和や安全を脅かすものには毅然として立ち向かうという気概を持った人々の知恵を寄せ合い、戦争を抑止するための方策を考え、提言する仕組みを作らにゃ、いかんのう。

 この方策を検討する議論や討論を通して国民一人一人が自分の国を守り、世界の平和や安全に貢献する考えを共有することが大切だと思うんじゃよ。

 これがじゃ、過去の戦争に対する国民の償いであり、世界貢献への道であるんじゃろう。
成熟した日本の姿を世界に示すことが今一番大事なこだと思うのじゃよ。

(みんな)  今日のご隠居の話は、難しいところもあったけど、とても良かったなあ!
ご隠居! 一杯やりましょうぜ! おい、かかあども、膳を用意しろ!

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