今年(2015年)6月下旬新聞の夕刊にイタリア女優の小さな訃報が掲載されました。その女優の名はラウラ・アントネッリ。1941年当時イタリア領だったクロアチアのプーラで生まれた彼女は我々と同世代です。彼女は1973年(昭和48年)のイタリア映画「青い体験」(監督サルヴァトーレ・サンペリ)で母を亡くして男4人の所帯になった家に、お手伝いさんとしてやってきた若くてお色気たっぷりなアンジェラに扮し、世界の青少年の股間をわしづかみにしました。当時のイタリア女優は、
エレオノラ・ロッシ=ドラゴ(1925年生まれ以下同じ、激しい季節)
ジーナ・ロロブリジーダ(1927年、花咲ける騎士道、空中ブランコ)
シルヴァーナ・マンガーノ(1930年、にがい米)
モニカ・ヴィッティ(1931年、情事、太陽はひとりぼっち)
ロッサナ・ポデスタ(1934年、トロイのヘレン、黄金の七人)
ソフィア・ローレン(1934年、島の女、ひまわり)
クラウディア・カルディナーレ(1939年、刑事、ブーベの恋人)
などがそれぞれ強烈なセックス・アピールを銀幕に振り撒いていました。
これらイタリア女優の中での私の一押しはなんといってもラウラ・アントネッリでした。セックス・シンボルのように言われる一面もありながらその中世の肖像画から抜け出したような上品で古風な顔立ちが私は好きでした。彼女の出演作で私が見たものを製作年、監督名とともに列挙してみます。
「毛皮のヴィーナス」(1970年)、マッシモ・ダラマーノ
「刑事キャレラ 10+1の追跡」(1971年)、フィリップ・ラブロ
「裸のチェロ」(1971年)、パスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ
「青い体験」(1973年)、サルヴァトーレ・サンペリ
「続・青い体験」(1975年)、サルヴァトーレ・サンペリ
「イノセント」(1976年)、ルキノ・ヴィスコンティ
「悦楽の貴婦人」(1977年)、マリオ・ヴィカリオ
「スキャンダル 愛の罠」(1985年)、ジュゼッペ・P・グリッフィ
イタリアの巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督にも認められ彼の遺作となった「イノセント」ではアメリカ女優のジェニファー・オニール(1948年生まれ)と共演しました。オニールはロバート・マリガン監督の「おもいでの夏」(1971年)で戦地へ行った夫の帰りを待つドロシーを演じ、思春期の少年たちのあこがれの的となった女優です。但しその清楚で憂いに満ちた美貌とは裏腹に私生活では9回も結婚しています。情熱の国ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで生まれたせいでもないでしょうが・・・「おもいでの夏」の印象が強烈過ぎてその後の作品には恵まれなかったように思いますが、「イノセント」ではさすがの存在感でした。「おもいでの夏」はなんといってもミシェル・ルグラン作曲のテーマ曲が素晴らしかったですね。「あのイントロを聞いただけで青春の甘酸っぱい思い出がよみがえってくる」という方も少なくないでしょう。 |