年寄りのつぶやき・主張等
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  2016.02.11 4組 吉田明夫
米大統領選と日米安保

♦日本を取りまく環境♦

 いま世界で強権政治を行っている主な国家は、①ロシア、②中国、③北朝鮮であろう。
 ロシアはソ連時代に敗戦濃くなった日本に対して、1945年8月8日突然日ソ不可侵条約を破棄し、対日宣戦布告をして来た。日本は8月14日にポツダム宣言を受託し、15日には天皇陛下による無条件降伏の玉音放送がなされた。その後、ソ連は8月25日に南樺太を占領、28日から9月1日にかけて択捉・国後・色丹島を占領する。
 我が国は9月2日の連合国への降伏文書に調印するが、その後もソ連は9月3日から5日にかけて歯舞群島を占領した。
 最近では2014年2月27日にウクライナのクリミア自治共和国を占拠し、強引にロシア領とした。

 中国は1978年以降の鄧小平による経済開放政策により日本を抜いてアメリカに次ぐ世界第2位の経済大国になった。とそこまでは良いのであるが、最近では九段線という中国にしか通用しない勝手なラインを南シナ海に描き、その中の南沙地域の岩礁を埋め立て軍事利用にも出来る人口島を強引に築いた。 どうしてこのようなことが出来るのか。それは領有権を争っているヴェトナム・マレーシア・フィリピンの軍事力が弱いからであると思う。1979年〜1989年にかけての中越国境紛争ではヴェトナムが敗れ、中国にとって有利な条件での国境線画定がなされた。21世紀に入ってからは西沙諸島や南沙諸島で領有権の争いが生じたがいづれもヴェトナムが敗れている。つまり軍事力の質と量の差が勝敗を決するのである。

 
更に東シナ海ではほぼ毎日のように巨砲を備えた中国海警局の警備艇が数隻づつ尖閣諸島の付近を徘徊している。
 日中中間線とされる線の中国側に日中で合意したガス田の共同開発も一方的に中国単独で開発し続けていて、その内の幾つかは即軍事利用可能といわれている。
 また、防衛省は12月26日、中国海軍のドンディアオ級情報収集艦1隻が23日から26日にかけ、千葉県の房総半島南東沖に位置する接続水域の外側を数回反復航行したのを確認したと発表した。領海への侵入はなかったそうだ。
 とにかく最近の中国は覇権主義をあからさまに打ち出しており、日本は暗澹たる状況に追い込まれつつある。石垣島の漁民は尖閣周辺では中国漁民が多く常にトラブルが発生し易くなっているとし、漁に行くのが難しくなっていると困惑している。一方左派のジャーナリストは日中双方の漁民は仲良くやっているといい加減なことをテレビで発信している。
 我が国は石垣の漁民の為だけでは無く、日本固有の領土として漁民の避難所や灯台を早急に設置すべきである。中国が因縁をつけて来たときはハーグの国際司法裁判所に提訴すればよい。中国は乗って来ないだろうが。

 北朝鮮は毎度お騒がせのヤンチャ坊主みたいなもので始末に負えない。数多くのミサイルを保有し核弾頭を付ければ日本の存続は非常に危ない。全てのミサイルを打ち落とす事は不可能だといわれる。
 1970年代から80年代にかけて多くの日本人が拉致されている。ちょうど日本が平和呆けを満喫している頃である。当時は海上警備などは無いにも等しい状態であったのである。

 
我が国周辺海空域の警戒監視のイメージ

冷戦期以降の空自機緊急発進実施回数とその内訳

緊急発進の対象となったロシア機および中国機の飛行パターン

我が国および周辺国の航空識別圏(ADIZ)


♦やっと出来た「平和安全法制」♦
 詳しい内容は下記をごらんください

 昨年2015年、念願の待ちに待った平和安全法制が閣議決定され、9月に成立した。この法案には、賛否両論有り、「賛成・合憲」と「反対・違憲」とに分かれている。自衛隊幹部等日本の防衛に携わって来た人や憲法学者の一部が賛成している。また、お笑い芸人やタレント、アイドルそれに憲法学者の一部が反対している。しかし、もし違憲ならばその憲法を改憲すればよいのである。
 各国の見解として、やはりロシア・中国・北朝鮮のみが反対している。その他は全て賛成である。
 自衛権については、集団的あろうと個別的であろうとどこの国家も持てる自然の権利である。ただし、例外として集団的自衛権を行使しないと公約している国はスイスと軍隊を持たないコスタリカだけである。スイスは永世中立国であり、周辺5カ国と同じ言語を使う民族で構成されている。コスタリカは周囲に脅威となる国が存在しない。

 情けないのは、「憲法九条にノーベル賞を」、「戦争をする国になる」、「徴兵制が敷かれる」、「戦争法案」等の戯言を真剣に唱えている政治家・ジャーナリスト・タレント等の輩の多いことであろう。ひどいのになると「九条があれば戦争は起こらない」、「九条は平和憲法」だという。「平和呆け憲法」の間違いではないのか。そんなふざけたことを言う国民は多国には居ない。スウェーデンに頼んで「ノーベル平和呆け賞」でも作って貰えば面白い。
 また、成立した「安保法制」に対して反対の意味で「反戦」という言葉をトレードマークのように使う人がいるが、平和を願う世界の国民は、皆「反戦」つまり「戦争反対」なのである。間違ってはいけないのは、その「戦争」を防ぐ為の法律が「平和安全法制」なのである。


♦米大統領の「安保法制」への影響はあるのか♦
 まず、2013年5月、オバマ政権のヘーゲル国防長官と小野寺防衛相の会談で、尖閣諸島について、へーゲル長官は沖縄県の尖閣諸島が日米安全保障条約の適用範囲であることを明言した。しかし、ケリー国務長官は安保条約の適用範囲を認めながらも「領土問題に関しては日中間で解決するもの」と発言している。以前オバマ大統領も同様の発言をしている。

 最近では、米有力シンクタンク「ランド研究所」のデイビット・シュラパク上級研究員が米外交専門誌フォーリン・ポリシーの軍事記者らを対象に、米国の「巻き込まれ論」を発表した。つまり、「米国が小さな無人島に関与して中国との紛争に巻き込まれ、米国の国益を損なう」という中国のプロパガンダに沿ったものになっているとしている。それに対して、米太平洋軍のハリス司令官は講演で、尖閣防衛について「中国の攻撃を受ければ、米国は間違い無く日本を防衛する」と延べて、クギを刺した。

 日本は尖閣に関して「領土問題」は無いとしているので、ケリー国務長官やオバマ大統領の発言も大いに気になる。この辺に日米の不協和音が存在するのではないかと危惧できる。もし、日本にとって最悪な大統領が選出された時のことを考えておくべきである。つまり、日米安全保障条約が機能しなくなったときのことである。条約というのは相手国の都合によりいつ破綻するか分からない。日ソ不可侵条約がいい例である。

♦日米安保が壊れたとき♦

 そのような状況になった場合を想定して準備をしていくことが重要であろう。
 例えば、武器も格闘技も持っていない普通の人が、凶器を持った悪人に襲われたとしよう。「私は喧嘩は弱いから襲わないでくれ」ということで通用するのか。国と国は力の均衡があってこそ、平和な関係が築かれるのではないだろうか。小さな弱い国には大国が優しく接することも必要であろう。では、我が国日本はどうであろう。大きくも無いし、それほど小さくも無い。しかし、今は北や西からの外圧にさらされている。この局面でもし何らかの原因で「日米安保」が消滅したら、日本は我が国を威嚇する国と対等に共存出来るのか疑問である。ではどうすれば我が国の領土・領海・国民の生命を守ることが出来るのか。戦争とは領土の奪い合いが主な要因である。他に一部の地域では宗教的対立もあるが。
 最も重要なことは、日本独自の強力な軍事力を保持することに尽きると考える。ともすると「強い軍事力を持つと戦争をしたくなるのでは」等と単純な理屈を並べるリベラル派も多いが、そうでは無い。
空手を例にとろう。沖縄空手を身につけた日本の女子留学生がアメリカで暴漢に襲われたとき、自分も相手の暴漢にも傷ひとつ付けずに取り押さえたというニュースが一昨年にあった。この女子留学生が防御術を持っていなかったら、どうなっていたかは明白である。国家も同じである。「反戦」や「平和憲法」と叫ぶだけでは日本国家を守れない。その為には、何が必要かを考えなければならない。
 幸い我が国は技術立国と言われているが、それを更に先進発展させて行かなければならない。それは一般工業の発展にも寄与するし、防衛力にも多大な貢献が出来るのである。戦闘機・イージス艦・潜水艦などはハイテクの塊であり、これからの日本の防衛機器が世界の水準を上回るように努力されなければならず、是非そうなって欲しいものである。


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