また、劇付随音楽も多く、中でも「ボリス・ゴドノフ」、「ハムレット」が有名である。
管弦楽曲も多く、組曲1〜4番、幻想序曲「ロメオとジュリエット」、「ハムレット」、「テンペスト」があり、幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」、序曲「1812年」、「弦楽セレナーデ」、「イタリア奇想曲」、「スラブ行進曲」などがある。「1812年」は攻め来るナポレオン軍との戦いを描いたもので、終盤ではフランス国歌「ラ・マルセーユ」とロシア国歌が交互に現れ、最後にラ・マルセーユを打ち消すかのように旧ロシア国歌が演奏され終わる。スラブ行進曲でも最後に旧ロシア国歌が出てくる。
5つの弦楽四重奏曲、一つのピアノ三重奏曲、1〜12月迄を表現したピアノ曲「四季」も有名である。
作品の中から、
① ピアノ曲「四季から10月・秋」(楽譜はピアノの原曲だがリンクした演奏は現代の指揮者エフゲニー・ スベトラーノフが管弦楽化したもの)
このメロディーはロシアのどこかの森で色づいた木々の間をさまよいながら遠く離れた恋人を慕うよう なもの悲しさを感じさせる。
②「弦楽セレナードの第2楽章」
憂鬱で悲しさを感じさせるが、それでいて少しの楽しさも与えてくれる逸品である。
③「交響曲第1番(冬の日の幻想)・2楽章
チャイコフスキーお得意の寂しさの表現は既にこの交響曲1番から始まっている。1866年に作曲され た作品番号13であるから、極初期の作品である。
④「交響曲第4番・1楽章」
1楽章の冒頭、ホルンに続いてトランペットのファンファーレのような旋律が奏でられる。チャイコフ スキーの金管は弦に劣らずどれも素晴らしい。この冒頭の部分はこれから訪れてくる悲劇と闘えと勇 気づける戦闘ラッパのようにも聞こえる。いつも感じるのだが、ロシアのサンクトペテルブルク・フィ ルハーモニー(旧レニングラード・フィル)やモスクワ放送交響楽団の金管はフランスのオーケストラ の金管のように華やかでは無いが、多少ビリツキを感じるくらいに迫力を感じる。
⑤「交響曲第4番・2楽章
オーボエの旋律は何故こうも憂鬱や悲哀を感じさせるのか。チャイコフスキーはどうしてこのような雰 囲気を醸し出すのがうまいのか。
⑥「交響曲第5番・2楽章
4番ではオーボエをこの5番ではホルンを使って効果をを出している。牧歌的だが少しの悲哀も感じさ せる。聴くときの体調によっていろいろな情景が頭を過ぎる。
⑦「交響曲第5番・4楽章」
中間部分の一部を短く編集したものを載せてみた。やはりトランペットの部分である。この部分も悲劇 に打ち勝って人生を勇ましく進んで行く凱旋行進曲のように聞こえる。