先日、新宿駅小田急線ホームで以前知り合った女性とばったり出会った。
私は忘れていたが、向こうが覚えていて声をかけてくれた。
彼女と出会ったのは数年前の池上本門寺の供茶式の日だった。
お寺の供茶式は僧侶の護摩焚きと読経が流れる中、家元が仏様へ供茶する儀式に参列し、添釜の三席(濃茶・薄茶・立礼)で仏様の相伴の一服をいただくのが決まりである。
添釜には500名以上の客が来るので席入りは行列で寄付き(席入の控の間)で待ち、一席50名ほどが団体で順次流れ入席するのが基本である。その日の供茶式も同様だった。
いつもは先生の社中何人かと待ち合わせて一緒に茶席に入るのだが、あの日はたまたま、私が一人で行くことになった。最初の「濃茶席」寄付きで隣に一人で来た静かな中年女性が座って席入りの順番を待っていた。 特に話はせず席入りする時「お先に」と言っただけだった。順番に席入りするので当然隣合わせとなり、私の次に彼女が回し飲みで「濃茶」を飲むこととなった。