ちょっと発表



2016.02.20
7組 斎藤良夫
 「国府津海岸」にマッコウクジラ漂着(2016.02.14)

 ピークは過ぎてはいたが波は荒かった。2016年2月14日夕の「国府津海岸」(神奈川県小田原市)。波打ち際の砂浜に打ち上げられた「マッコウクジラ」(体長約15m)は、時々押し寄せる荒波にほんろうされ、巨体を回転させていた。よく見ると、頭と尾びれはしっかりわかるが腹と背中のいわゆる胴体部分がぺしゃんこだ。例えて言えば、空気の抜けた紙風船みたいだ。後でわかったことだが、脊髄の部分が分かれて、この現場から約500m西側の海岸に打ち上げられていた。一頭のクジラの体が二つに分かれて漂着していたのだ。

 クジラの名前が「マッコウ(抹香)クジラ」となぜ直ぐに分かったのか---。実は前日2月13日夕方のテレビ等で「13日正午過ぎに小田原の海岸(この時は酒匂海岸)にクジラが漂着した」と報じられ、「マッコウクジラ」と紹介されていた。そして、2月6日に伊豆大島沖で高速船とクジラが衝突する事故が起きており、このクジラが衝突したクジラの可能性もあるというのだ。背中には大きく切れた痕があった。テレビは高速船の映像とともに乗客が撮影した衝突直後のクジラの映像も流していた。また、11日昼ころ横須賀海上保安部が三浦市城ヶ島沖の西方を漂流しているクジラの死骸を発見し、船舶と衝突する恐れがあったため光るブイ(浮標)を尾びれに取りつけたという。漂着したクジラの尾びれにブイが付いていた。

 小田原地方は13日夜から14日午前にかけて雨とともに強風が吹き荒れた。13日に酒匂海岸に漂着したこのクジラは荒波で再び海に戻され、相模湾を漂流しながら約2Km東の国府津海岸に14日漂着したのだ。高速船との衝突で大きく損傷したクジラは、漂流中に波にもまれて胴体と脊髄が分かれてしまい国府津海岸のに2か所に別々に打ち上げられたのだ。

 クジラの周囲には15日に縄がはられ、クジラは16日にブルーシートで覆われた。16日には合わせて「腐敗が進んでいるため触れないようお願いします」という看板が、「小田原市環境部環境保護課」と「神奈川県西土木事務所小田原土木センター河川砂防第一課」の連名で立てられた。そして、18日に「頭部、胴体、尾びれ部分」が砂浜に埋められた。 この間、神奈川県立生命の星・地球博物館はじめ関係機関の調査が行われた。クジラが漂着してから国府津海岸は見物人でにぎわった。「富士山」ナンバーの車もあった。クジラと船舶の衝突は時々あるらしい。今回、衝突した高速船の乗客、乗組員にけが人はいなかったが船は航行不能になった。クジラに限らず海上には何が漂っているか分からない。船舶の航海士はじめ乗組員には一層の注意がうながされたことだろう。

 国府津周辺でのクジラの漂着は、最近では2012年1月2日に国府津西隣りの小八幡海岸に生後1年未満とみられる「ザトウクジラ」(体長6.3m)が打ち上げられた。箱根大学駅伝の日だった。私がこうした現場で感じることは、見物人の多くがクジラの種類が分からないということだ。クジラなぞめったにお目にかかれるチャンスはないので、それはそれでやむを得ないことだ。ただ、クジラの具体名はともかく、せめて「ヒゲ(鬚)クジラ」類と「歯クジラ」類に大きく分けられることを知ってほしいと思っている。ちなみに、今回の「マッコウクジラ」は「歯クジラ」(イルカも同じ)で、「ザトウクジラ」は「ヒゲクジラ」。ヒゲクジラの頭は流線型で、今、南極海の調査捕鯨で獲っている「ミンククジラ」はヒゲクジラに属している。最近、こんな話をする機会が多い。子どもたちにはしっかりとお教え、覚えてほしいと願っている---。  「国府津情報」でした。それでは、また---。


 


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