ちょっと発表




  2016.04.13  3組  佐々木 洋

 さくら狩人・湘南桜錯乱物語Part 12 小田原城址 (その2)  探訪日 3月30日

 女王の空間から兎の棲み家へ

 女王の空間から兎の棲み家へ
オーストラリア人の友人であるジェイソン・エイプリル夫妻が、豪華客船「クイーン・エリザベス号」で来日してから辻堂の我が兎小屋に来て半月ほど泊ってくれることになりました。以前にも来泊したことがあり、私たちの会話の中では我が家のことをいとも気楽に“tiny house”と呼ばわっていたのに、女王(クイーン)の空間から兎の棲み家にいきなり転身してこようというのは大した決断です。恐らく、以前の経験から“狭いながらも楽しい我が家”を尊ぶ日本人の心証を理解していた上に、兎小屋とは称しながら自分たちのようなカンガルー級の2匹や3匹はもぐりこめると実感していたからでしょう。財政的な制約があるわけでもないのに、敢えて我が家を選んでくれたからにはこちらも気合十分、春先の日本の美しさを満喫してもらおうと、今日は東京、明日は箱根といったように連日の観光地間引き回し。しかし、この間に、メーンイベントとして企んでいた小田原の花見がなかなか実現できません。「さくら狩人・湘南桜錯乱物語」の「Part 6 小田原城址」に掲載した桜満開の桜の写真(http://odako11.net/Happyou/happyou_sasaki/happyou_sasaki_4.html)の撮影日が「2013.03.27」となっているのに、小田原の方から一向に“花の便り”が伝わって来なかったからです。
見事な“日豪親善大使”ぶり

 しかし、桜は満開になってから散るのも早いですが、咲き始めてから満開になるのも随分早いものですね。ようやく「蕾膨らむ」の花の便りが聞こえたかと思うと、急転直下「明日小田原地区満開」の報になってしまうのですから。そこで、得たりやおう応と、3/30にホンダN Wagonで小田原に駆け付けた私たちをお堀端の桜は温かく迎え美しい姿を見せてくれました(下左の写真)。生まれて初めて、身を本物の満開の桜の元に置くオーストラリア人の喜びの表情も併せてお読み取りください(下右の写真)。なかなか咲いてくれずヤキモキさせてくれたのですが、小田原の桜は見事に“日豪親善大使”の役割を果たしてくれたのです。

 


 城と桜と…お猿さん

 お堀端から、ヘタッピな英語で「なんと言っても、桜と城のとり合わせが最高さ」とかなんとかウソブキながら私たち日本人夫婦はオーストラリア人夫婦を天守閣エリアに誘いました。常磐木門の桜もこじんまりとジェイソンとエイプリルを歓迎してくれているようで我が家のカミ様も嬉しそうです(下左の写真)。更に“登城”すると桜の先に天守閣が聳えています(下右の写真)。「ねっ、お城と桜、見事な取り合わせ…でしょ?」と後ろを向いて声をかけたのですが、あれれ、オーストラリア人カップルはそこにいない!?なんと二人は元動物園の名残として残っている猿の檻に惹かれていってしまっていたのです。近づいていくとジェイソンが言いました。「ほんとに素晴らしいね、城と桜と猿の取り合わせって。ヒロシさん」だって。猿はオーストラリアにいないから特に興味をそそられたようなのですが、二人にとって城と桜に並ぶ存在になっていたとは“知ら猿”ことでした。


 えっ、“ヒロシさんの城”だって?!

 天守閣は耐震工事を行なうため来年(2016年)の4月末まで“入城”禁止になるのだとか。しかし、幸運なことに今日は入館禁止直前だったので、オーストラリア人に古城の内側まで見せてあげることができました。館内の展示物を興味深く見入っている二人に、「ねえ、ここからも桜が見えるよ」と誘って窓外に目を向けさせ(右の写真)、「ほら、やっぱり城と桜の取り合わせは良いでしょ」とここでまた更に一言追加。

また、日本100名城の写真が展示されていたので、二人は小田原城天守閣内でバーチャル全国行脚することに。すると突然ジェイソンの「あ、これヒロシさんの城だ!」という素っ頓狂な声。見てみると、その写真には“Hirosaki Catsle(弘前城)”という解説が付いていました。“ Hirosaki”が “Hiroshi Sasaki”の略称に見えたのでしょうか。それとも、教養豊かなジェイソンがダジャレ好きな私に合わせて作ってくれた“オーストラリア流駄洒落”なのかも。


  「城と桜と猿と温泉と雪」の5拍子への転調

 4月に入ってから二人は長野に旅行。すぐに行った先から右の写真を添付したメールを送ってきました。お猿さんたちが温泉入浴している光景で、「僕たちはこれが見たかったんだよ」と言いたげな嬉しそうな表情をしています。そしてメール本文には、「城と桜と猿と温泉と雪の取り合わせが最高。ヒロシさんも来年今頃長野に来ると見られるよ。」という親切な“観光ガイド”が付いていました。そっかー、日本人の「城と桜」を「城と桜と猿と温泉と雪」の5拍子に転調することができるんだ、見ようによっては!…初めての外国人との花見をしたことから新たなことを学んだ去年の体験でした。


天守閣から見た桜
 
長野地獄谷温泉