ちょっと発表



   「ハーフ」について思うこと

2017.1.18      3組 佐々木 洋

 

去年のリオデジャネイロ・オリンピックでは、父親がジャマイカ人、母親が日本人のハーフのケンブリッジ飛鳥が、400mリレーのアンカーを務め日本に銀メダルをもたらしてくれましたね(飛鳥が名前でケンブリッジが姓だとは今回初めて知ったのですが)。また、柔道男子90キロ級では、父が米国人で、母親が日本人のハーフのベイカー茉秋選手が金メダルを獲得しました。その他に、ジャマイカ出身で、ジャマイカ人の父と日本人の母を持つウォルシュ・ジュリアンも中距離ランナーとして出場していましたし、父・アメリカ人、母・日本人のハーフのダニエル太郎も、錦織圭とともに日本のテニスチームに参加していました。そう言えば、2013年9月にアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されたIOC総会において東京2020オリンピック・パラリンピックを東京へ招致するためのプレゼンテーションをして「お・も・て・な・し」を訴求した滝川クリステルも、父親はフランス人、母親は日本人のハーフでした。

日本の芸能界に"ハーフ・ブーム″らしきものが訪れたのは一昔も二昔も前のことだったと思います。ようやく"謹慎期間″が過ぎたベッキー(父親がイギリス人で母親が日本人)やローラ(父がバングラデシュ人で、母が 日本人の血を3/4ロシア人の血を1/4受け継いでいるそうですらから、正確にはハーフではなくてクォーターですが)の例を見ても、外国人の基準からすると美人なのかどうかわかりませんが"日本人離れした"容姿をしていることは確かです。それでいて、それなりに分かりやすい日本語を話し、時として"日本人離れした"お茶目な発言をするところが日本人に受けているのだと思います。しかし、芸能界だからこそ通ずる"日本人離れした"側面をハーフの日本人オリンピック選手たちは示すことができるのでしょうか。それとも、それとはまったく別に"日本人ならではのDNA"が加わったために、オリンピック選手になるのにふさわしい国際的レベルの競技力が身に付いたというのでしょうか。

オリンピック年を越えた今年も更にハーフ日本人スポーツ選手の活躍が続きそうです。その一人が、父の国籍がハイチで母の国籍は日本人という女子テニスプーレーヤーの大坂なおみです。"日本人離れした"パワフルなプレーが売り物で、一昨年100位台だったランキングが昨年は48位にまで上昇し、今日(1/16)から始まる全豪オープンに向け手ぐすね引いています。女子テニスといえば、かつて伊達公子が世界ランキング4位にまで達しましたが、これは「ライジング・ショット」という独特な打法を武器とするものでした。男子で世界ランキング4位にまで達していた錦織圭も、ランキングが大幅に上昇したのは、台湾系アメリカ人で身長175センチの小柄な身体ながら全豪、全英、全米オープンと並ぶグランドスラムの全仏オープンを制したことのあるマイケル・チャンをコーチに向けて以来のことです。伊達公子や錦織圭がなにがしか"日本人ならではのDNA"を意識している様子なのに対して、大坂なおみが示しているのはセリーナ・ウィリアムスばりの"日本人離れした"プレースタイルです。今年の目標としている「世界ランク20位入り」は達成できるとしても、ベスト10入りするためには"日本人ならではのDNA"の良さをどこまで活かせるかにかかっているのではないかと思っています。

かつて日本の高校野球界とプロ野球を席巻して、現在メジャーリーグで活躍しているダルビッシュ有投手も、イラン人の父と日本人の母との間に生まれたハーフです。日本のロッテオリオンズからメジャーのヤンキースに転じた伊良部秀輝(元投手)も父・アメリカ人、母・日本人の同じ穴のハーフ。更に言えば、2215試合連続出場という日本記録を持ち「鉄人」と称された衣笠祥雄(元広島三塁手)も、父をアフリカ系アメリカ人、母を日本人とするハーフです。東北楽天ゴールデンイーグルスの2015年ドラフト1位ルーキーで、ナイジェリア人の父と日本人の母の間に生まれたオコエ瑠偉などの場合は、名前からしてハーフっぽいのですが、父をアメリカ人、母を日本人とする広島カープの九里亜蓮投手のように日本人っぽい名前の選手が日本プロ野球に存外多いことに気が付きました。イチローや田中将大のように専ら"日本人ならではのDNA"を生かしている"純日本プレーヤー“と伍してどのように"日本人離れした"ところを見せていくのか楽しみなところですね。

今回少々驚いたのは、横綱、大関との総当たりの今場所の前半戦を、2個の金星を含む5勝3敗で終えた西前頭筆頭の御嶽海久司が、父は日本人、母はフィリピン人のハーフだったということでした。顔立ちからして"日本人離れ"していると思っていたのですが、あの"日本人離れ"した激しい闘志や身体の動きもやはり"ハーフならでは“のものだったのですね。そしてもう一つ驚いたのが昨日(1/15)の今場所8日目に御嶽海が破った東小結の高安晃がまた同じように父が日本人、母がフィリピン人のハーフだということでした。"次期日本人横綱”としての待望久しい〝純日本人力士"の稀勢の里が全勝単独トップで前半戦を折り返した今場所ですが、〝日本人離れ“したところと"日本人ならではのDNA"のなすところを大いに示していけば、御嶽海・高安の日本人ハーフ力士の方が存外早く先着してしまうのではないかなどと思ったりしています。

しかし、インターネットには「日本政府によると、今日、日本で生まれた人たちの約30人に1人は片方の親が日本人ではない。」という記述があるかと思うと「小学一年生は約一割が渡来人か混血」と述べている人もいます。日本が経済大国として広く世界進出した際に、日本国内を含む世界の各地で国際的な姻戚関係が生まれ、その結果、芸能界やスポーツ界ばかりでなくハーフやクォーターが普通の存在になってきたということなのでしょうね。日本がグローバル化するのに伴って日本人がグローバル化したといっても良いのでしょう。諸外国の人々も、ハーフだのクォーターだのと言わず「日本人」として受け入れてくれているようです。私たち日本人も、"グローバル化した日本人“として自らを世界にアピールしていく必要があるのかもしれませんね。そして、だとすれば一層、"日本人離れ"と〝日本人古来の美点”を見極めて「良き日本人」のイメージを明確にしていく必要があるのかも。「ハーフ」とは関係ありませんが、マツコ・デラックスやミッツ・マングローブといった女装家・タレントが、日本人のどんな層に支持されているのか分かりませんが、もてはやされていてCMにも多用されているのを見るにつけ、どこに"男性離れ″の美点があり、〝日本人女性の古来の美点“とどのようなかかわりがあるのか全く解することができず「これで良いのか日本人」という思いにさらされてしまっています。

以 上