ちょっと発表



   小池旋風に一言

2017.3.30     3組 佐々木 洋

 

小池さんが“進めてきた”大改革って?
千代田区長選(2/5)では、小池百合子知事の支援を受けた現職の石川雅己氏が、自民都連推薦の与謝野信氏にコテンパンな差をつけて再選されましたね。まさにそれを報じた新聞の見出しの通り「小池旋風、衰え知らず」ですが、祝勝会であいさつに立った小池都知事が「東京大改革を進めてきた私にも大きなエールをもらった」と語ったと聞いて「えっ!?」と思ってしまいました。「小池さんが“進めてきた”“大改革”って一体何だろう?」と思ってしまったからです。

百合子百合子と草木もなびく
むしろ、千代田区長に再選された石川さんが語った「スターである小池知事が出てきて大きな影響があった」というコメントの方が素直でしっくりきたのですが、皆さんは如何“小池旋風”を受け止められておられるでしょうか。私には、“単なるスター”であるにもかかわらず、“大改革実践者”であるかのごとく振舞っていて、都民や国民をすっかりその気にさせている小池百合子の姿がヘンテコなものに見え、“百合子百合子と草木もなびく”都民や国民に“危なさ”を感じています。

干されて冷や飯を食わされていたスター
もともと小池百合子は、「郵政民営化が改革の本丸である」などと訳の分からないカイカク論を口走っていた“スター派本舗”の小泉純一郎元首相の申し子のような存在で、数々の“勲功”を挙げていました。ところが自民党総裁選で石破茂を支援したのが誤算で、“準スター派”の安倍晋三首相に干されるような形になっていましたね。そんな時にわかに、冷や飯を食わされていた国政の場とは違った東京都知事選という“スター登場”の好機が訪れました。

都知事選挙はスター誕生の聖地
しかし、自民党都連は自民党本部の方針に従って、“筋を通して”、総務大臣と岩手県知事で国政と県政の経験がある増田寛也候補を支援していたのですから、自民党本部に在籍していながら乗り込んできた小池百合子に支援を求められても応じられるわけがありません。そこで「崖から飛び降りる覚悟」なんて“可愛い”言葉を発して臨んでいたのですが、直接投票による都知事選挙は政党政治の出る幕は乏しくスター誕生の聖地。余計な心配をしていただけのことでした。

“非ファースト都民”が現れるのが都政
「都民ファースト」などというとカッコ良く聞こえますが、本来、市長なら「市民ファースト」、村長なら「村民ファースト」を当然心がけるべきことなのですから、小池さんだけが売り物にできる言葉ではありません。今のところは“全都民のスター”で済んでますが、都政というものは、限りある都の財源を取り分けながら使って行うものですから、ある層の都民の幸福のための政策を行うとなると、そのための犠牲となる“非ファースト都民”が現れることになるということをお忘れなく。

スター人気で膨らむ「都民ファーストの会」
スター知事のカッコ良い「都民ファースト」の声に都民の皆さんが驚喜しているうちはまだ良いのですが、都議会議員の皆さんが小池さんをしたって「都民ファーストの会」入りしたのには呆れましたね。それぞれ党派から立候補して、それぞれの「都民ファースト」らしさを評価されて都民から選ばれたというのに臆面もなくその党派から離脱してしまうのですから。一体、小池百合子のどんな政治信条に魅かれたというのでしょうか。スター人気にすがっただけじゃないんですかね。

希望の塾」に教授を“希望”できるものは?
我がスター性に自信を持った小池百合子さんが政経塾「希望の塾」を立ち上げた時には何事かと驚いたのですが、これも小池塾長を慕って大勢の人が応募していましたね。もともと日本新党に入党してから、新進党 自由党 保守党、そして、保守クラブから自由民主党と渡り歩いた政歴からみても、小池百合子さんには一貫した政治理念や政治信条といったもののお持ち合わせはないようです。「希望の塾」で一体何を教えられるというのでしょうか。

東京大‴改革‴は‴維新‴の二番煎じ?
政経塾「希望の塾」は‴小池百合子さんご自身にとっての希望‴の塾なんじゃないでしょうか。まずは今夏の都議会選挙で、塾生を主体に候補者を押し立てて「都民ファーストの会」に圧勝をもたらせたいという希望。これにとどまらず、国政レベルにも、「維新の会」と同様に「都民ファーストの会」を送り込みたいという希望。どうやら小池さんは、同じくスター知事として大阪府政に登場した橋下徹さんの‴維新‴と東京大‴改革‴を重ね合わせているみたいですね。

都議会との二元世界なのに
知事選挙の際に、“筋を通して”活動していたばかりに小池百合子さんに目の敵にされて、すっかり悪者扱いされている‴都議会のドン“こと内田茂さん(自民党都連前幹事長)は、小池知事について「(議会との)二元世界に飛び込んできたんだから、そのことをわきまえて知事をやってほしい」と語っていました。これもまた‴筋の通った‴ご意見であり、ひたすら議会に目を向けて「都議会自民党との対決姿勢」にこだわっている小池百合子さんにも反省してほしいところです。

欠け落ちている‴行政‴‴執行“の視点
もともと「知事」は都道府県という自治体を代表し、‴行政‴を統括する独任制の‴執行“機関と位置づけられています。日本の自治制度は、都道府県市区町村を問わず、首長と議員をともに有権者の直接選挙で選び、それぞれが‴執行‴機関と議事機関という異なった役割を担うという仕組みになっています。これが「二元代表制」なのですが、小池知事には、議事機関に対する配慮もなく、自らの‴行政‴や‴執行“という視点が基本的に欠け落ちているように思えます。

豊洲移転問題に関する行政執行の停滞
早い話が築地市場の豊洲移転問題です。小池知事は、「‴再審査‴の上、‴総合的に判断‴してから決める」として、予め決められていた予定時期に移転することを差し止めましたね。私はこの言葉を聞いて、「これまでに審議されなかった事項があるのだろうか」と思うとともに「これまでにされてきた判断は総合的なものではなかったのだろうか」と疑問に思い、「単に時間をかけて行政執行を遅滞させるだけで、同じような結論になるのではないだろうか」と思いました。

「全面盛土」の有効性が総合的に判断されているのに
専門家委員会では、様々な環境問題事項を審査した結果、「汚染物質は地下水の水脈に乗って流動する」という事実を認識していたからこそ「全面盛土」の提案をし、東京都庁も総合的に判断したうえでこの提案を受け入れて、盛り土費用850億円の財政支出を決定したはずです。実際に、地下水の汚染度がどんなに高くても、全面盛土さえしてあれば汚染物質が地上に流出してこないのですから、豊洲市場で扱われる食品の安全性は確保されるはずです。

問題は「謎の地下空洞」撤去だけ
問題は、豊洲地区における建築確認申請の条件に「盛り土」が含まれていないため、盛り土のされていない「謎の地下空洞」を持つ建物が数棟建てられてしまったことです。委員会の性格上、専門委員会は行政執行に関する権限も責任も持つことができないのですから、当然、都の行政組織は自らの行動規約の中に埋め込んでおかなければならなかったところです。「盛り土」を含む建築確認申請条件を訴求適用して「謎の地下空洞」をなくしてしまえば済む話だと思います。

「豊洲移転ファースト」へ
一方、豊洲の地下水系を動きまくっているベンゼン、ヒ素、更にはシアンといった汚染物質が、東京湾に流れ込んでいる恐れはないのでしょうか。都民ファーストなどと言っているうちに、東京湾岸の神奈川県民に被害が及んでくるのではないかと心配しています。小池百合子さんには「豊洲移転ファースト」による行政執行とともに、これまで審査も総合的判断もされてこなかった汚染物質の東京湾への流出阻止対策へ向けて‴知事らしさ“を発揮することを願ってやみません。

以  上