ちょっと発表


どうなるのかなあ大相撲の今後は

3組  佐々木洋   

“だらしがなくて”“締まりがない” 初場所だった

 1/17メール仲間の不渡君こと中澤秀夫兄から入った「徳勝龍と対戦する照強を応援しよう」というメールに対して「今日の相手のは難敵ですよ。立ち合いがズルイから、相手十分の立ち合いになってしまう恐れがあります。」と私は返信しました。徳勝龍は、だらしなく太って”いて“顔立ちにも締まりがないので、我が身を見るような不快感があったのですが、今場所は「立ち合いがズルイ」だけでなく、気合がこもっていて脚がよく動く「いつもと違う徳勝龍」だったので一言したのですが、まさか徳勝龍が優勝しようとは思ってもいませんでした。幕内最下位の幕尻力士の優勝は、2000年春場所の貴闘力以来二人目の快(怪?)挙。千秋楽の幕尻力士が相撲を取るのは昭和以降で初めてだったそうですね。相撲協会としては、結びの一番で大関が 徳勝龍を簡単に破って、徳勝龍と正代の優勝決定戦を持ってきて盛り上げようと思っていたのでしょうが、幕尻と大関との一戦を千秋楽の結びの一番に持ってくるなんて相撲協会のすることもメチャクチャでしたね。やはり、徳勝龍と正代の優勝決定の一線を千秋楽に回して、結びの一番は最高位同士の貴景勝・豪栄道の一戦を仕組むべきでした。「”だらしがなくて締まりがない” 初場所だった」と言われても仕方がありません。

幕尻優勝は“牙城崩壊”の行きつく先

 千秋楽結びの一番で幕尻にコテンと負けてしまう大関も器の大きさが問われるところですが、白鵬と鶴竜の二人の横綱が早々に欠場してしまって以来日々の横綱の土俵入りもなく、こんな器の小さい大関の貴景勝とカド番大関の豪栄道が交互に結びの一番の登場していたのですが、これでは“締まりがなく”なるのも当然です。ここにきて、横綱・大関の牙城が一気に崩壊してしまったような感があります。下の表は過去5年間の幕内優勝者のリストです。2017年は、横綱・大関が年間6場所の全てで優勝していますが、その前の2年間が6場所中5場所で優勝しているのに対して、近年2年間は6場所中3場所で後の3場所を関脇以下に譲っているのです。2020年1月場所における幕尻優勝は、横綱・大関の“牙城崩壊”の行きつく先であったように思えます。

 

2015

2016

2017

2018

2019

1月場所

白鵬(横綱)

琴奨菊(関脇)

稀勢の里(大関)

栃ノ心(前頭)

玉鷲(関取)

3月場所

白鵬(横綱)

白鵬(横綱)

稀勢の里(横綱)

鶴竜(横綱)

白鵬(横綱)

5月場所

照ノ富士(関脇)

白鵬(横綱)

白鵬(横綱)

鶴竜(横綱)

朝の山(前頭)

7月場所

白鵬(横綱)

日馬富士(横綱)

白鵬(横綱)

御嶽海(関脇)

鶴竜(横綱)

9月場所

鶴竜(横綱)

豪栄道(大関)

日馬富士(横綱)

白鵬(横綱)

御嶽海(関脇)

11月場所

日馬富士(横綱)

鶴竜(横綱)

白鵬(横綱)

貴景勝(小結)

白鵬(横綱)

いよいよ「大関がいなくなっちゃった」

 2020年1月場所は大関及び大関経験者の退潮ぶりがあらわになった場所でもありました。まずカド番大関の豪栄道(33)が5勝10敗の大敗で場所後に引退を表明してしまいました。10番勝てば大関復帰と期待された関脇の高安(29)も6勝9敗で春場所は小結に降格することでしょう。前頭6枚目に落ちていた栃ノ心(32)も5勝10敗で、前頭13枚目の琴奨菊(35)も7勝8敗。その上、次期大関候補として期待されていた前頭2枚目の御嶽海(27)まで7勝8敗と負け越し、高安とともにフィリピン人のお母さんを悲しませる結果になってしまいました。以前からの「大関がいなくなっちゃう」という心配が顕在化してしまったことになります。初場所で早々に欠場してしまった(29前頭筆頭)にぶん投げられた白鵬なんて相当ショックを感じている筈ですよ。“必殺の上手投げ”を繰り出したのに見事切り替えされて、ぶっとんじゃったんですからねえ。その遠藤も「今場所は気合が入っているぞ」と思わせたのですが結局は9勝6敗どまり。“次期大関候補”なんて声が一つもかかってこなかったですね。

今度は「横綱がいなくなっちゃう」ぞ

下の表は初場所で10勝以上あげた力士の一覧表です。横綱と並んで優勝を争うため毎場所12勝をキープできる大関になれそうなのは、これに遠藤と御嶽海、それに高安を加えたメンバーに限られるのではないかと見ているのですが如何ですか。日本人力士がモタモタしていると、大関陥落後序二段まで陥落していて、ようやく 戻ってきた十両で優勝したモンゴル人力士の照ノ富士(28)の大関復帰に先を越されてしまいそうですね。下表の「次期大関候補リスト」に含まれているモンゴル人は霧馬山だけ。思えば横綱・大関の牙城崩壊”も、白鵬、日馬富士、鶴竜を継ぐモンゴル勢がいなかったからということなんでしょうか。とりあえずは、昨年の11月場所で11勝して令和元年の年最多勝争いを制し、3月場所で12勝以上すれば大関昇進条件の「三役で3場所合計33勝以上」を達成できる朝乃山が最有力ですが、これに続くものが次々と現れなければ今度は「横綱がいなくなっちゃう」ということになってしまいそうです。

14勝 

徳勝(34 前頭17枚目)

13

正代(28 前頭4枚目)

11

貴景勝(23 大関) 北勝富士(27 前頭2枚目) 豊山(26 前頭9枚目)
霧馬(23 前頭17枚目)

10

朝乃山(25 関脇) 竜電(29 前頭8枚目) 輝(25 前頭11枚目)

気分次第で「ロートル」は「ベテラン」になれる

 徳勝龍の33歳5カ月での優勝は、日本人力士としては年長記録。実は、元横綱稀勢の里や大関豪栄道らと同年生まれの「黄金世代」の一人だったんですねえ奈良出身力士の優勝も1922年春場所以来およそ100年ぶりとのこと。また、木瀬部屋力士の優勝も初めてのことです。木瀬部屋としては、かつて幕内で人気を博していながら怪我のために陥落していた宇良(27)が序二段優勝を果たしているのですから喜びもひとしおだったことでしょう。徳勝龍の新入幕は13年名古屋場所で、15年夏場の西前頭4枚目が自己最高位だったのですが、その後十両転落を繰り返し、今場所は4場所ぶりの幕内復帰でした。こんな風に、十両から戻った場所で優勝した力士も過去にいなかったんだそうですよ。徳勝龍の“勝”は、場所中に亡くなった近畿大学相撲部監督の伊東勝人さんのお名前から頂戴したもののようですね。期待されていながら“だらしなく”た“締まりがない”ところしかお見せすることができなかった徳勝龍でしたが、かつての恩師の急逝に面して期するところがあったのでしょう。優勝インタビューでも「監督が見ていてくれたのではなくて、一緒に土俵で戦ってくれた気がします」と語っていましたね。「やればできる」と悟ったのか徳勝龍は更に「“もう33歳ではなくて“まだ33歳”の気持ちでこれからも頑張る」という言葉を残していました。「ロートル」というのは、中国で「年寄り・老人」という意味の「
老頭児」に由来する言葉ですが、日本語としての「ロートル」は、日常ほとんどの場合「旬をすぎた人や物、役にたたない人や物」を示す俗語・隠語として用いられていますね。一方、「経験豊かな老練者、ふるつわもの」という良い意味を示す場合には、英単語veteranに発する「ベテラン」という言葉が使われますが、徳勝龍は意識の持ち方を変えることによって自分を「ロートル」から「ベテラン」に代えていたわけです。私たちたちも;もう79歳”と「ロートル」ぶりをこいていないで、“まだ79歳と経験豊かな「ベテラン」ぶりを発揮していこうではありませんか。