ちょっと発表 |
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「そろそろ金木犀(きんもくせい)の花の香りが漂ってくるのだが今年は妙だな。これも新型ウィルスの影響なのだろうか。」などと妙なことを思いながら朝の散歩から帰宅する日々を重ねて来たのですが、ようやく花を咲かせ優しい声をかけてくれました。おお、待ちに待った良い香り。秋たけなわの候になったんだなあ。 | |||
中国南部が原産で、江戸時代に日本に伝わってきたモクセイ科の常緑広葉樹であり、漢字名の「金木犀」は「木肌が動物のサイ(犀)に似ている」ことから付けられという全く香り気のしない命名です。しかし、花の香りを愛する日本人はキンモクセイを、沈丁花(ジンチョウゲ)、山梔子(クチナシ)とともに“三香木”として位置づけて尊び、その小さな花が放つ芳香がすっかり“秋の風物詩”になっている … と思いきや、さすが即興俳人の俳号・高幡大馬王殿もいきなり「キンモクセイの句を」と振られて、「なんとなくトイレの芳香剤の匂いのイメージしか沸いてこないなあ」と戸惑ったそうです。それでも辛うじて「散歩道でどこからともなく匂ってきたことがあったなあ」と思い出して次の一句を作って“寄進”してくれました。
しかし良く調べてみると、原産地の中国でも、丹桂や桂花、金桂といった美しい別名で知られていて、観賞用だけでなくて、花びらを使って「桂花陳酒」という酒や「桂花茶」という茶を作って香りを楽しんだり、お菓子、漢方薬を作ったりする食用や薬用にもなる植物としても親しまれているそうですよ。学名の Osmanthus fragrans var. aurantiacusも、ギリシャ語のosme(香り)とfragrans(芳しい香り)、aurantiacus(橙色の)という意味があるのだそうです。英名もfragrant orange-colored oliveですので、芳香にこだわっているのは日本人だけではなく“国際的な香木”と言えそうです。
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ヒイラギは原産地が東アジアで、葉のトゲに触ると痛いことから、ひりひり痛むことを意味する「疼ぐ(ひいらぐ)」が花名の語源とも言われています。常緑高木で、一年中葉が緑に茂っているのですが、晩秋から初冬にかけて花をつけることから、「木」と「冬」を組み合わせて「柊」と表記されるようになったといわれます。私の「ヒイラギ」のイメージは、「赤い実が美しくクリスマスの装飾の定番として使われる木」だったのですが、これは実はモチノキ科の植物「セイヨウヒイラギ(クリスマスホーリー)」だったようです。紛らわしいことに、トゲのあるヒイラギの葉に似た葉を持つ植物は別種であっても「ヒイラギ」の名を与えられることがあるんだそうですよ。ヒイラギの花言葉は「用心深さ」と「保護」。「用心深さ」は、葉の縁にトゲがあり、むやみに近づいたり触ったりすることができないことに由来し、「保護」は、トゲのあるヒイラギが魔除けになるといわれていることにちなみます。 |
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即興俳人の俳号・高幡大馬王殿も私から「柊(ヒイラギ)の句を」と無茶振りされて困ったことでしょう。歳時記で調べた結果、「柊挿す」が節分のころの季語だと分かって一層困り、「いささかフライングだな」と思いつつ、新型コロナウィルス禍が「柊挿す」頃までに終息していることを願って、次のような一風変わった句を詠んで贈ってくれました。
同じ下手っぴ釣り仲間として釣行をともにしたことがあるのでわかるのですが、高幡大馬王殿が「ヒイラギ」と聞いて真っ先に頭に浮かべたのは、シロギス釣りの際に外道として“釣れ過ぎてしまう”魚のヒイラギの方だったのではないかと思います。木のヒイラギの葉(下左)に似て棘があるため、または、この魚のトゲが鋭く手を刺すと「ひりひり痛む」(古語で「ひひらく」)のでこの魚名になったようです。釣れてくる時に滑る・刺さることがあるうえに、平たい小型魚なので可食部が少ないので、針から外すとポイ捨てしていました。しかし、今回インターネットで「身質はアジ類に似た白身で、塩焼き・唐揚げ・干物・吸い物の椀種・酢の物・煮付けなどに利用される」という記事にお目にかかり、更に、ヒイラギの唐揚げ・塩焼き・煮付け・潮汁更に刺身の料理が写真入りで紹介され、それぞれの美味振りを絶賛している記事にも巡り合いました。花木ばかりでなく魚類についても初めてわかった事柄は、俳句のお返しに高幡大馬王殿に教えてあげようかと思っています。 |
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