柳川さんの書かれたものを読んで、私も懐かしく青春時代の曲のかずかずを思い出しました。
「湯の町エレジー」は、当時私は歌詞の意味するところはよく理解できない年ごろだったが、何となく「♪伊豆の山々月淡く明かりに揺れる湯の煙」と歌っていました。歌というものは不思議なもので、いまだにその歌詞が自然に浮かんできます。
<ラジオの時代>
「L盤アワー」はよく聞きましたが、もう一つ「ユアー ヒット パレード」というのがあって、これも良く聞きました。女子アナの「ヨアー・ヒッ・パレイド」という一声で始まるのだが、その言い方に独特の調子があり、「ヨアー・ヒッ・パレイド」のパにアクセントがあり、人気になっていました。
「エデンの東」は長く第1位を続けていたが、映画「SHANE」の主題歌、「遥かなる山の呼び声」も長いヒットを続け、日本語版も出来て雪村いずみが歌っていました。
NHKの第2放送で、「リズムアワー」というのがあって、毎日午後4時になるとラジオの前に陣取ったものです。
ラジオから「カッカッカッ…」とメトロノームの音が聞こえてきて、おもむろに男のアナウンサーの声で「リズムアワー、今日は油井正一さんの解説でジャズをお楽しみください」などと始まるのであった。河野隆次さんの「モダンジャズ」、高山なんとかさんの「ラテン音楽」、解説者は忘れたが「シャンソン」、「タンゴ」、「ハワイアン」など、毎日楽しみに聞いていました。
そのころは、大した音響機器も無くて、5球スーパーなどと言っていた普通のラジオで聞いていたものです。
私も、ビートルズとは何となく縁がなく通り過ぎてしまったようで、その頃は、「ブラザーズフォー」、「ピーター・ポール・アンド・マリー」(“P・P・M”と呼ばれていた)、ジョーン・バエズ、ボブ・ディランなどのアメリカンフォークソングの系統に偏っていたようです。
この頃、ピート・シーガー、ウディー・ガスリーなんて人を知りました。
2人ともアメリカ古謡の収集家で、ピート・シーガーは「The Weavers」というグループを結成し、収集した歌を中心に歌っていました。ウディー・ガスリーは、第2のアメリカ国歌といわれるようになる「我が祖国」(This Land Is Your Land)を作った人です。
<映画の主題歌など>
「ブラザーズフォー」のものでは、「遥かなるアラモ」(Green Leaves Of Summer)、「北京の55日」、「花はどこへ行った」、「Green Fields」などを思い出します。「キングストントリオ」の「トム・ドゥーリー」もヒットしました。
「遥かなるアラモ」は、映画「アラモ」の主題歌で、ジョン・ウエイン製作・監督・主演のこの映画は、私にはそれほど良い作品とは思えませんでしたが、この曲の方はヒットしてブラザーズフォーは一躍日本で人気を得たように記憶しています。
「時の過ぎ行くままに」(As Time Gose by)、映画「カサブランカ」の挿入歌で、映画では酒場のピアノ弾きが、イングリッド・バーグマンのリクエストに応えて歌っていました。このピアノ弾きに扮した人は有名なピアノ演奏家だそうですが名前は失念。
「誰かが誰かを愛してる」(Everybody Loves Somebody)、テレビの「ディーン・マーチン・ショー」のオープニング曲としておなじみになったもので、ディーン・マーチンは、しっとりと歌い上げ良い味を出していました。
「アンディー・ウイリアムス・ショー」のオープニングは「ムーンリバー」でしたね。
「酒とバラの日々」(The Days Of Wine And Roses)、ジャック・レモン主演の同名の映画の主題歌で、アンディー・ウイリアムスやペリー・コモが歌っていました。
「思い出のグリーングラス」(Green、Green Grass Of Home)、これは「故郷の駅に降り立つと、金髪をなびかせて恋人が迎えに走ってくる」などと牧歌的で、我が国の「故郷(ふるさと)」のような曲想の作品だと思っていたら実は、死刑囚が監獄にあって故郷の夢を見ているというものでした。
余談ですが、「リンゴの木の下で」(In The Shade Of The Old Apple Tree)という歌、「♪リンゴの木の下で、明日また会いましょう」と古くはディック・ミネなどが歌っていて、甘い恋の歌と思われているが、実は「リンゴの木の下に葬られた恋人を偲んでいる」歌で、悲しい歌なのだそうです。
<レコードとCD>
柳川さんは、クラシック音楽に造詣が深く、今は主にクラシックを聞いておられるようですが、私は若いころにジャズの方へ舵を切ってしまったようで、クラシックはほんのちょっと「嗜む」程度で、ジャズを主に聞いています。
レコードをいろいろ持っていましたが、いや今も温存してあって、アンプやプレーヤー一式も有ることはあるのですが、半田付けをしなくてはならない箇所があったりして、あれこれセットするのが億劫でしまい込んであり、宝の持ち腐れになっています。
CDという便利なものが出てきているので、もっぱらCDです。
レコードで聞くのも、あのレコード盤に針を落とすところとか、一種アナログの味わいがあってよいものですが、いつか出して聞いてみようと思いつつ、ついそのままになっています。
むかしの曲は懐かしくいろいろ思い出しますが、今出来の曲はどれもほとんど心に響かず興味を持てないでいます。もっともこれは最近の作品が云々と言うよりはこちらの感性が古くなっているせいなのでしょうが……。
そんな訳で新しく曲を覚えるということはほとんどないので、付き合いでカラオケに行ったときなどには、親戚の若い子たちから、「イエスタデイな曲も結構いいわね」などと慰められています。
(完)
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