今年春から隠退生活に入りまして、新しい生き甲斐探しで、小田原生まれの俳人藤田湘子の「実作俳句入門」に啓発され、ユーキャンの俳句入門通信講座を受講していますが、講座のコース半分を終えたところで、俳句作りが面白くなり、<生活俳句>を続けてみようかという気になって来ましたので、その状況を報告してみます。
講座は、テキスト3冊と6回の添削が内容で、1回3句で3回目提出俳句の添削を受け、第4回目のテキスト読みと俳句提出を終えたところですが、最近パソコンのトップ画面に、エクセル表で<日記風俳句帳>を置いたところ、気楽に推敲作業ができるようになり、何か言葉や人・出来事・歴史などをネット検索して新しい発見や思い出しがあり、作句は簡単にはいかないが、散歩しながらの吟行を心掛けて、作る楽しみを感じています。
上記藤田湘子のようなプロは1日10句作るようなこともするようですが、のんびりと、尚且つ、上達もしたいので、当面は1日1句を心掛けて、<一日一句ボケ予防>にもなればありがたいと、思ったりしています。
喜寿の春はじめる傘寿の髭おしゃれ
… 喜寿であご髭を伸ばし始めた。傘寿の頃の老人おしゃれに、なればと思っている。
隠退や俳句入門遅桜 ◎「漢字ばかりからソフト化で脱出」 <~俳句はじめる遅桜>
… 職業人生を隠退し、楽しむ個人事の一つに俳句を選んだ。遅い良さも味わいたい。
父の日や過去が咲いてる花届く ◎「思いの吐露でなく写生を」 <~娘より来し花の束>
… 娘から届いた盛花を見ながら、散歩で見かけた寺のことば書きの<今>を味わった。
朝顔や露はじくのか花の青 ◎「疑問形を脱出して断定へ」 <~雨粒弾く深き紺>
… 雨上がりの朝、周りは濡れているが、曇り日に際立つ青色の花一つを詠んだ。
紫陽花の朝日浴びるや色五色
… 日が当たる前に紫陽花を見た道を戻る時、朝日に鮮やかに輝く五色の色に驚いた。
水面散るあめんぼうかな森の池
… 静かな森林公園の池で、静止水面が散る方向を見ると、あめんぼうだった。
せせらぎや青空滑る水すまし
… せせらぎの水たまりで、水すましが滑るのが、水面の青い空の上なのが面白かった。
夏日背に影は我かな丈五丈
… 朝早く夏日を背に歩き、前をゆく自分の影の背丈が、5倍になっているのに驚いた。
素裸で窓風愛でる二階かな
… 今年から簾を活用し、2階の窓風で涼む習慣がついて、素裸で夏の一時を楽しんだ。
朝焼や川面に鯉の口開きぬ ✿「風格あり、文句なしによい句です」の評を頂いた。
… 朝焼を望む橋から、川面で鯉が、投げ餌を求めるように、口を開けているのを見た。
蝉しぐれ鴉五羽鳴き挑みけり ◎「大砲と鉄砲万発対比が面白い」<~鴉の声の挑みけり>
… 蝉しぐれが圧倒的な朝の森林公園で、鴉の発声に、蝉声に挑むような鋭さを感じた。
網戸して窓開け寝入る二階かな ◎「窓開けが説明的で不要」 <~深く眠れる二階かな>
… 熱帯夜でも風がある夜にエアコンを使わず、網戸風の恵みで熟睡できた朝に詠んだ。
風鈴や風の予報で吊るし聴く
… 台風予報を聞いて南部鉄の風鈴を吊るし、出てきた風で、しばし強めの音を楽しんだ。
白百合の顔だけ路地に出て居けり
… 中学校へ出る路地に入ると、白百合の花が首を出して、お早うと言うように見えた。
電柱の影を背に踏む残暑かな ◎「背にを外してすっきりと」<~影を踏み行く残暑~>
… 電柱の影が繋がる朝の歩道で、影を背に選んで歩いて、少し救われた気分を詠んだ。
鬼やんま停止飛行の餌追いかな ◎「餌追いに新しさがある」<~餌さがす停止飛行かな>
… 森の細道で、鬼やんまが突然、停止したまま飛ぶのが、獲物を狙うのかと思った。
盆の池もしもしで亀浮き出けり ◎「ユーモア・俳諧味」<呼びかけに亀の浮きけり盆~>
… 森林公園の古池で、いつも見る亀がいないので、もしもしと呼んでみたら頭が見えた。
孫採りし海辺の小石飾るかな
… 沖縄の海で2歳の孫が拾ったというおみやげの小石を、仏壇に大事に飾る我。
高原にコスモス揺れけり母の里
… 幼い日、母の郷里の仙石原で、従姉達と高原で見た、秋桜の揺れ方を覚えている。
仏像の見方学ぶや秋彼岸
… 菩提寺で、本格お茶頂戴と副住職の講義法話会があり、仏像の見方に興味を持った。
喜寿秋や車保険の値上げくる
… 車の保険更新で、昨年比15%増の案内が来た。車齢より年齢が理由と心する。
敬老日年三本目やタバコ吸う
… 40代での禁煙を古希で解除し年3本吸い8年。今年の3本目は敬老日に堪能した。
秋の日や調査票来る家と土地
… 国の住宅・土地5年毎調査で、我家も対象に選ばれ、家と土地を見直す機会になる。
仏壇に花枝置くや金木犀
… 空き家の実家へ行き、盛りの金木犀を楽しみ、花枝を持ち帰って仏壇に供えた。
台風過ぎ兜太記念誌創刊す
… 台風24号一過の朝刊で、2月逝去の金子兜太冠名の俳句雑誌創刊の記事を見た。
西空や焼けて美味そう鰯雲
… 秋の夕空に、焼け染まった鰯雲を見て、最近高値と聞くイワシを食べたくなった。
秋の池に鳥啄ばむや亀の甲
… 水面の亀の側に鴨が舞い降りたが亀は逃げず、鳥が甲羅を啄ばんで掃除した。
孫二歳運動会で走る秋
… 保育園の運動会で2歳の孫が、向こうで友達と話し、笑い、走るのを見て安心した。