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  衰え行く町「小田原」                    2012.03.13    今道周雄

 先日(珍しくも)国会中継で予算委員会の討論を見た。ちょうど野田聖子議員が質問に立っていて、「5年ぶりの予算委員会質問で緊張しています。」と切り出していた。なるほど予算委員会で質問に立つというのは、そんなに機会が少ないものかと感心していたら、聖子議員が、野田首相に対し民主党を褒め上げていた。過去の政党で民主党ほど少子化対策を取り上げた政党はなかったのだそうだ。野田首相は喜んだあまり、聖子議員に対し「野田さん、貴方は良い方です。」と言ったのだが、すぐに聖子議員から「民主党政権発足以来少子化担当相は何人変わりましたか。」と切り返され、「中川さんで7人目です。」と憮然として答えていた。
 日本はいま、震災復興、原子力事故(エネルギー)対策、経済対策という3大問題に直面し、それらを緊急に解決しなければならない。だが、百年の計を考えると最も重大な問題は少子化であるようだ。聖子議員は「議員は全員、国土交通省が出した「国土の長期展望(中間とりまとめ)http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/kokudo03_sg_000030.htmlをテキストとして読むべきだ。」と指摘した。

 さっそくダウンロ-ドして読んだが、恐ろしい内容である。これに刺激されて、私もわが町小田原の将来をシミュレーションしてみた。すると、小田原の衰え行く姿がよく見えてきた。

 小田原市の人口データ(2000年、2005年、2020年)のコーホート分析を行った結果、30年後には人口が15万人を切ると推定された。総人口で見れば25%の減少だが、15-64歳は50%の減少である。これだけ人口が減ると、空き家が目立ち、経済活動は鈍り、税収が減って公共の建造物の維持管理が出来ず、ゴーストタウン化するに違いない。
 企業数は今でも減少傾向にあるが、首都圏への集中化により減少傾向が加速されることは間違いない。下のグラフは1991,1996,2001,2006年のデータからGROWTH関数を使って2026年まで予測したものである。企業の数と人口には強い関連があると思われるが、ここではその分析は行えていない。

 1996年には10,445あった企業数が、2006年には8,634まで減った。2026年には6,700くらいまで減ると予想される。然し、このシミュレーションによれば、2026年で雇用する人数は84,000人程度となる。一方、人口統計から予想される2026年の労働人口は55,000人程度であるから、そのギャップを埋めるために、もっと早く企業数が減少するのであろう。
 東日本大震災以後、企業はBCP(企業存続計画)に余念がないが、長期展望に立てば真のBCPは上に見たような人口減少対策ではないだろうか。

         
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