安藤康正さんの趣味


釣りの話
2014.06.23
4組 安藤康正


 現在千葉の野田に住を構えていますが、この地で習得した釣りのよもやま話をします。小田原では釣りといえば鮒つり程度の記憶しかありませんが6月に入り、田植えも終わって川の水位も回復し、いよいよ釣りのシーズン到来です。

 10年ほど前までは町会の釣り好きの人達と車2台で、茨城県の涸沼(ひぬま)にハゼ釣りに出かけていたのですが沼の水質悪化が原因で釣れなくなり当然、足は遠のき、かわりにやまべ釣りが企画されるようになり、現在にいたっています。今や足腰が弱くなり現在では、町内で元気な常連は3名程度にまで縮小してしまいました。自然の摂理とは言え、町内の釣り人の減少はこれも自然保護に貢献しているのかもしれません。
こちら野田に来てから地元の方々にやまべの釣り方を教えていただき “浮き”を自作し、しかけを工夫したりしていろいろな釣り場情報を仕入れて今のスタイルになりました。

-釣り針-
 やまべ釣りは数多く釣り上げるべく、かえし(餌を川面に投入し、川下に流して仕掛けを手元に戻す一連の挙動)を早くすることが釣果をあげるコツのひとつです。釣り針には代表的なものが秋田狐と呼ばれるものと、袖という2種類が主流で、前者は形状が狐に模して鋭く、後者は和服の袖に似て丸みを帯びた形状。この釣り針に“アゴ”といって、釣り針に「かえし」部分があり、釣り上げる途中で魚がバレない(落ちてしまわない)ような形状のもので、これがないものもあります。

-浮き-
 市販の浮きは当然のことながらシーズン初めや晩秋の食い渋る季節用といったものは売っていないので自作で棒状の発泡スチロールに芯棒を通した浮きを作っています。微妙なやまべの「食い」を水中で見るかのように魚との“吸い込み”に続く“食い”の動作に合わせて釣り上げるタイミングを計るのがより多くの魚を釣り上げるテクニックになります。水面に顔を出している浮きのトップ部分の微妙な動きだけが釣り人の目で確認できる水中の魚の動作です。いままでに100本以上の浮きを作ったと後輩に話したら「何で一匹を釣り上げるのにそんなに作るのか」とバカにされました。しかし魚との“対話”上、この浮きのトップ部分の動きが大切になります。
 浮き本体の下方を太くすると、魚の食いにゆっくり反応し、反対に細くすれば鋭く敏感に反応する浮きになり、後者が食い渋る時期の浮きとして使われます。夏場の食いのよい時期はどんな浮きを使っても問題はないでしょう。浮きの表面には製作番号、使う重りの数や喫水線、上下動の速さ等が判るようにレタリングを張り付けて魚の食いの良し悪しにより使い分けています。

-釣り方-
 やまべ釣りには、ねり餌を1回ごとに針に付けて釣るオーソドックスな釣法とオランダ釣りと言ってまき餌を入れた籠(かご)と数本の擬餌針を数珠つなぎにした、しかけ(市販されている)のもの、地元の釣り人に教わった、通称“ペッタン”と呼んでいる螺旋状の針金製のかごにまき餌を入れて、その上部に2,3本の針を付けたしかけの釣法、そして毛鉤による釣りなどがあります。毛鉤釣りは川の中を歩いて、釣れる場所を探しながらの釣りになるので脚力が衰えた現在では岸辺で椅子に座りながら釣る、ねり餌での釣り方に徹しています。
 オランダ釣りの名前の由来は不明ですが、みち糸に擬餌針6,7本がついたものをリール竿で投入して釣る漁法で、魚影が濃い時には直径1mほど川面が盛り上がる程、魚が寄り集まりその中から擬餌針にかかった魚を取るという、少々荒っぽい釣り方です。
当初、教えられたねり餌での釣り方は米ぬかをおにぎり程度の大きさにまるめたものを2,3個川の中に投入してしばらく待ち、水の流れで溶けだしたまき餌につられて集まってくる魚を釣る手法で、このおにぎり大のまき餌を “バクダン”と称しています。自作の浮きで見えない魚とのやりとりし、口先で餌をつつき、次の“当たり”で合わせて釣り上げるといった微妙な駆け引きは浮きでの釣りに限ります。川の中の石の蔭や藻のまわりをターゲットにして釣果を上げます。
 「ぺったん」は堰などの狭い魚道を遡上する魚をねらう釣法で、稚魚がターゲットのため鬼怒川の一部中流では堰の下流200m範囲を釣り禁止区域に指定している場所もあります。

-ねり餌-
 赤い食紅か何かが入った粉末状の餌が市販されており、これをみりんで溶いて適当な粘度のえさを作ります。みりん以外に蜂蜜やら卵の黄身などを入れる人もいるようですが卵の黄身は夏場は日持ちせず、あまり使用しません。蜂蜜が彼らの嗅覚(?)にヒットするのかは不明。赤い色には反応するようです。“ばくだん”に使うまき餌も市販されており川によっては、海釣り用のおきあみは混入禁止されているという情報を聞いたことがあります。

 まき餌での失敗は、米ぬかの中に蛾の卵か幼虫が入っていたのか、部屋中に蛾が大量発生し、以来、我が家では“米ぬか使用禁止令”となりました。体長1cmほどのこの蛾(名前は不詳)の発生時間は、朝晩の薄暗くなった時間帯や部屋の灯りを暗くした時に現れます。まるで幽霊の現れるような時間帯に。蛾は一般的にそうでしょうか。明るさに弱いようです。変な自然観察報告になってしまいましたが。
「おいかわ」(こちらではやまべと呼んでいます)の雄で、鼻が黒くてたくましい姿です。食用には適さず、骨ばかりが固くてからあげも二度上げする必要があります。お酒、醤油で煮つけにする場合はお酢を入れて骨を柔らかくしたりショウガを入れて魚の臭みをとります。


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