同じような映画がある。ブライアン・ヘルグランド監督の「42」(世界を変えた男)(2013)という野球映画で、これも最近DVDを観ている。
アメリカ大リーグ初の黒人選手ジャッキー・ロビンソン(キャドウィック・ボーズマン)の偏見に敢然と向き合った不屈の人生と、彼を抜擢し暖かく見守ったブルックリン・ドジャースのオーナー(ハリソン・フォード)、そして妻との揺るぎない夫婦愛が胸を打つ佳作である。1997年、彼の背番号”42”は全てのチームの永久欠番となり、彼がデビューした4月15日には、全球団の選手が背番号42で試合に出場するほど敬意を表されている。
また、C・イーストウッドが製作・監督・主演の「ミリオンダラーベイビー」(2009)では、アカデミー作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞(ヒラリー・スワンク)、助演男優賞(M・フリーマン)と主要部門を独占した。これまでボクシング映画は沢山作られているが、一押しの作品である。さらに、やはり彼の「人生の特等席」(2012)。野球映画とは呼び難いかも知れないが、目を患いながら、新人選手を発掘する大リーグの老スカウトマンを演じ、父娘(エイミー・アダムス)の愛情と葛藤を描いて心温まる一篇である。
残念ながら、これまで素敵な”テニス映画”はお目にかかっていないが、この他のスポーツ映画で私の記憶に強く残っているのは、ヒュー・ハドスン監督の「炎のランナー」(英・1981)である。ケンブリッジ大学に入学したユダヤ青年とイギリス青年が、学内競走でトップを競い合い、それが縁で、人種の垣根を超えた深い友情に結ばれる。更には互いに切磋琢磨してパリ・オリンピック(1924)の400米走で優勝を争うまでになる実話である。アカデミー作品賞ほか7部門で受賞した、爽やかな”走る”青春映画の傑作であり、音楽賞を取ったヴァンゲラスの大変印象深いテーマ曲は、多分皆さんも聴けば「ああ、この曲か」、すぐ分かるかと思う・・・。
次回のラグビーW杯は2019年に東京で開催される。新国立競技場建設騒動でイメージダウンした感じであるが、今回の”事件”を起爆剤に大いに盛り上がりそうである。
そのためにも、「ハリーポッター」の作者J・K・ローリング女史が、この日本・南ア戦を観戦して「こんな映画は作れない」と語っているが、日本の映画界が総力挙げて製作して、それこそアカデミー賞を獲るような、世界に通用する素晴らしい”スポーツ映画”が出来ることを期待したい。
2015.9.25 記 |