電子政府と閣僚の知識レベル

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電子政府と閣僚の知識レベル

2021.05.19

4組  今道周雄

  菅内閣の目玉政策として「デジタル改革」が打ち出され、デジタル庁が新設されることになった。このニュースを聞いて多少希望をいだき、国連の2020年度E-Governmentランキングを見て落ち込んでいた気分が多少は晴れた。

 ところが呆れる事態が起こり、期待は落胆へと変わってしまった。それは防衛庁のワクチン接種予約システムに欠陥があり、架空の接種番号で予約出来ることを朝日新聞と毎日新聞が指摘したところ、岸防衛相は18日の記者会見で「不正な手段によって予約することは、貴重なワクチンを無駄にしかねない悪質な行為」と訴えた。悪質なケースには法的措置も検討するという。

 同報道について問われた河野大臣は、「一部の報道で、65歳以上でない方が面白半分に予約を取って65歳以上の方の予約を邪魔している、それを誇っているかのような報道があったので、自衛隊から抗議が出されたと承知している。自衛隊のシステムに関しては、個人情報を持たないようにして予約を受け付けるシステム。ただ、対象の方がきちんと予約できるように、一部必要なシステムの改修は行われていると承知している」と説明した。

 平井担当相は記者会見で「予約システムに関しては各自治体それぞれ独自で作っている。デジタル庁が発足していれば、こういう予約システムが乱立するようなことは避けられただろうと、今となっては思う」と述べた。

 「システムを作るときにバグがあってはならない」という鉄則は常識であって、少なくとも閣僚以下担当官僚にはわきまえていてほしい。この常識が欠けているために、今回の接種登録システムの誤登録や感染者接触検知アプリがまったく動作しないような事態が起こるのである。バグをあたかも悪意のある人間がいるのが悪いと責めるのは、己れの無知をさらけ出している事に気付いていただきたい。

 国連が出した電子政府の評価をみるとオンラインサービス(OSI)は韓国が1.00に対し日本が0.9059 ,人的資本(OSI)は韓国が0.8997に対し日本は0.8684,電子政府(EDGI)は韓国が0.9560に対し日本は0.8989である。次は日本の閣僚と官僚のデジタル知識レベルを是非評価してもらいたいものだ。

デジタル庁が幾ら頑張っても、閣僚・官僚そして各自治体のデジタル知識レベルが上がらなければ、システムの乱立と無駄は収まる事がないだろう。



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